トラウマはポテトサラダ
高校生の頃の部活では、年末にご飯を持ち寄って食べたり、一発芸を披露するイベントがあった。私は一発芸でプラスチックの皿回しをして、最後は皿を頭に乗せるという一発芸を披露した。緊張しすぎてあまり覚えていないが、なんとかやりきった気がする。友達は、ブリッジをしながら寿限無を最後まで言い切り、最優秀賞みたいなのを貰っていた。なんかカッコよかった。
最初に少し触れたが、各自ご飯を持ち寄るのである。学年などで「おかず系」「デザート系」などグループ分けがされ、私はおかず系を持ってくるグループだった。
私はポテトサラダを作った。部活の後に買い出しをして、全て自分でやった。初めてポテトサラダを作った。想像以上に大変でポテトサラダを作るのに3時間くらいかかった。
深夜に作り終わり、疲労困憊ながらも大きな達成感に包まれながら就寝。
そして当日、お弁当のタッパーにポテトサラダを詰めて持っていった。
私と同じ学年の女子はおかず系の担当であったが、無視してデザート系を持ってきている人も何人かいた。ゆで卵を10個持ってきている人もいた。みんなに聞いてみると、ほとんどの人が親に作ってもらったらしい。
張り切りすぎた感じがしてなんとなく恥ずかしかったが、作ったポテトサラダをみんなの持ってきたご飯が置いてある真ん中の長い机に置いた。
ご飯はバイキング形式で取っていく。
デザート系は人気で早く取らないと無くなってしまう。減りが早い。おかずより先にみんなデザートに食らいつく。
私は自分のポテトサラダの減りが正直気になっていたが、あんまり見ていると「気にしてるんだ〜」と思われそうで恥ずかしくてあまり見ないように意識していた。
そしてみんなのお腹も膨れて、片付けの時間になった。
余っているご飯をみんなで食べちゃおうという流れになった。
しかし余っているご飯は少なかったため、すぐに無くなった。
けれど、私のポテトサラダの容器だけない。
どこだろう、と少し探していると、同じ学年の女子が私のポテトサラダとスプーンを持って
「ちょっとこれ食べれない?ちょっとでいいから」と回っていた。ポテトサラダを押し付けていた。ポテトサラダハラスメント。ポテハラをしていた。
そして、私が作ったとは知らずに私のところにも回ってきた。
その時にとても惨めになって、もう大丈夫だよ、と言って容器をバッグに詰めた。
半分くらい残っていた。張り切って作ったのバカみたいだ。私のだけ残ったんだ。
私もゆで卵で良かったんだ。といろんなことを考えていた。
家に帰って、余ったポテトサラダをベッドで泣きながら食べた。
美味しいのに、なんでだろう。
個数ものじゃないから取りずらかったのかなあ。
ポテトサラダは今も大好きだが、たまにこの経験を思い出す。
前に居酒屋で頼んだ時に思い出した。辛い。
今でもあの時の気持ちを思い出すと悲しい。苦しい。
私は今も料理が大好きなのだが、人に食べてもらうことが少し怖い。
食べてもらう時は
「おいしくなかったら食べなくていいよ」
「なんかいつもより味薄くておいしくないかも」
と自分が傷つかないように予防線をめちゃめちゃ張っている。
あの時は、みんなが喜んで食べてくれるのを期待しすぎていたのかも。
悲しいな。悲しいな。ただそれだけのお話でした。