岸田政権の”新しい資本主義”は”七夕資本主義”か

Ⅰ. はじめに

 ー岸田内閣支持率高い
 ・岸田内閣の支持率の推移:55%を維持。
 ・コロナ対策
 ・ウクライナ問題

 ー経済政策の基本は「新しい資本主義」
 ・その具体的内容はまだ見えない? 

Ⅱ. 岸田首相の「新しい資本主義」

 1. 岸田首相の「新しい資本主義」とは

  ー資本主義
  ・19C産業革命頃、資本主義、英国で発展。利潤求めて自由放任。労働者搾取。疲弊。
  ・20C、修正資本主義、労働基準法、社会保障。日本でも総資本の論理、大河内一男学説

  ーネオリベラリズム批判
  ・1970s以降。市場競争のメリット活かすべき。規制緩和、自由競争
  ・1980s世界主要国の経済思想の主流。
  ・経済も発展。しかし弊害(外部不経済)も。格差拡大、貧困増大、地球環境劣化

  ー”新しい資本主義”の提唱
  ・外部不経済是正のしくみを資本主義に埋め込んだ”新しい資本主義”提唱

  ー分配政策強調
  ・格差や貧困を減らすために分配政策強調
  ・日本の弱点:デジタル化、グリーン化、経済安全保障政策など強化して強みに
  ・欧米主導のこれまでの経済思想にたいし、日本発の「新しい資本主義」でリードを

 2. 米欧経済批判なら妥当

  ーアメリカ経済批判
  ・バイデン氏「私の選挙公約かと思った」22.1.12.日米首脳会談

  ー情報技術の発展と雇用機会の流出
  ・情報技術と産業のグローバル展開
  ・雇用機会の流出、国内では失業↑
  ・トランプ氏:制裁関税で雇用取り戻す?
  ・2021.11.大統領選めぐり、米国社会の分断。 共和党トランプ、民主党バイデン

  ー英国経済批判
  ・EUの単一労働市場、外国人労働力との競争
  ・国内の雇用機会減少→格差拡大
  ・EU離脱要望↑

 3. 分配重視論

  ー分配重視
  ・成長軽視の批判
  ・修正⇒成長の成果を分配に

  ー日本の分配はそれほど不平等ではない。
  ・米欧に比べれば、日本の分配はまだ平等。
  ・ジニ係数(1が不平等、0が平等)OECD諸国では中程度。
  ・再分配後の所得分布では低下。政策による改善の余地はある。

  ー分配が経済政策の第一義?
  ・分配は経済政策の第一義になるほど重要か

Ⅲ. 分配政策の具体像

 1. 若年者に10万円給付

  ー18歳以下一律給付
  ・18歳以下の青少年に10万円給付、21年末まで給付急ぐ。
   ・親のどちらかの所得が960万円以下の家庭に一律給付。

  ー目的判然としない非効率政策
・かなりの高所得階層を含むので非常に不公平。救済なのか消費喚起なのか判然とせず経済政策としては非効率で、国民には釈然としない。

  ー救済なら困窮対象者に
  ・救済なら困窮する学生や食事も満足にできない子供達を対象にすべき。
  ・彼らの実情に関するデータはある。政府がそれを掌握できないのはDXの遅れか行政の怠慢でしかない。
  ・960万円以下としたのは、既存の児童手当の基準でデータがあり迅速給付ができるから?

  ー給付を急ぐ必要は?
   ・そもそもなぜこの時期に意義不明の現金給付をしなければならないのか。
   ・感染抑制で経済活動が収縮した2020年の春なら理解できるが、景気も回復した21年末に給付の緊急性はないはず。政権の人気取り?

 2. 賃上げ税制

 ー賃上げの一部を税額控除
 ・また、賃金を引き上げる企業には、給与総額の増加分につき大企業には最大30%、中小企業には40%までを税額控除することにした。
 ・安倍政権でも2018年から実施したがあまり効果はなかったとされる。税額控除分の賃上げ?

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