人はあの世へ行くとき、川を渡るというのは本当らしい

30年くらい前に、父は病気で亡くなった。
家族が交代で病院に行って、父のベッドの横に座っていた。
だんだんからだが食べ物を受け付けなくなり、自力では水もとれず、それにつれて意識もとぎれとぎれになっていく。
「さっき、たくさんの人が並んで奴隷船に乗り込んでいた。自分はその列の後ろの方に並んでいた。船に乗り込もうとしたら、足に激痛を感じて目が覚めた。あれに乗っていたら死んでいたかも。」と父がいった。
それが、最後の言葉だった。
そのあと、父は意識を失い、数日後に息を引き取った。
生と死の境はなにか。
私と母と兄のいるときに父の心臓は止まって確かに死んだと医師に言われたが、父はいつから死んでいたのだろう。

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