![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/51754411/rectangle_large_type_2_fc22f8d6e8119e563132fba0e97ef6c7.jpeg?width=1200)
Photo by
intothegarbage
【手離せないもの。忘れたいもの】
それはそれは、きれいな猫だった。暗闇のなかをしとしとと歩く白毛、ところどころに浮かぶ黒いまだら模様、うっすらと光る瞳。野良猫なのか、散歩中の飼い猫なのか、どちらかはわからない。
小柄な身体を静かに揺らし、急ぐでも止まるでもなく、その猫は公園の脇道を歩いていた。私たちはほんの数秒、たしかに見つめあった。先に目を逸らしたのは、私のほうだった。懐かれたとて、連れ帰るわけにはいかない。ペット可の物件でないのはもちろんのこと、私自身が重度の猫アレルギーである。
すきなのに身体が受けつけない。その理不尽さに軽い苛立ちを覚えながら、私は猫に背を向けた。曲がり角まで来たところで、一度だけ振り向いた。猫の姿はもう、何処にもなかった。
ここから先は
2,172字
¥ 200
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。 頂いたサポートは、今後の作品作りの為に使わせて頂きます。 私の作品が少しでもあなたの心に痕を残してくれたなら、こんなにも嬉しいことはありません。