しゅんくん
2024年7月3日 0:40頃
わたしの愛猫・しゅんくんが永眠しました。
11歳でした。
原因は急性心不全、脳梗塞。
7月2日の朝は元気に歩いて、みんなと一緒に朝ごはんを食べて、いつも通り歯磨きをしているわたしに甘えてくれていたのに。
あまりに突然の別れに全く理解が追いつかない。
このどうしようもない気持ちと、しゅんくんとの記憶をnoteに綴らせてください。
この子の名前が何故“しゅんくん”なのか、わたしは知りません。
しゅんくんは元々余所のお家で飼われていた子だったので、前のお家で“しゅんくん”と名前を付けてもらったようです。
我が家に迎えるタイミングで新しい名前を付けようかとも思ったけれど、この子の命の名前がしゅんくんならば名前を替えるなど野暮だよな。と、我が家でもしゅんくんと呼び続けた。
しゅんくんは人間に触られることが苦手で、すごく警戒心の強い子でした。
“スコティッシュフォールドは甘えん坊で飼いやすい”
何が根拠なのかもわからないそんな話を信じて、ペットショップでしゅんくんを購入した元の飼い主。
懐いてくれないしゅんくんに虐待をした上、イメージと違うなどと身勝手な理由で手放したのです。
しかし2歳になろうとしてるスコティッシュフォールドの里親はなかなか見つからない。もう保健所へ連れて行くしかないかもしれない。
里親探しを頼まれていた友人からそんな話を聞き、「ふざけるな、うちへ来い」と我が家へ迎え入れました。
我が家に来たばかりのしゅんくんは、えらい荒くれ者でした。
半径1メートル以内に近づけば「シャー」と威嚇される。
常に爪と牙を剥き、怖いというよりも可哀想なくらいでした。
わたしはしゅんくんのその様子を見て、自分と似たものを感じた。
可愛がってほしくない。近寄ってほしくない。自分のテリトリーに踏み込んでくる人間が怖い。
自分を守りたい気持ちから人への警戒心が強く出てしまう、それはわたしも同じだったから。
わたしはしゅんくんに我が家では安心して過ごしてほしいと思い、「あなたに害を与えないよ」と伝えることに専念しました。
懐いてくれなくたって構わないから、とにかくこの子に安心してほしかった。
触れない、近づかない、余計なことをしない。
ごはんをあげて、おトイレを綺麗にする。
遠くから見守ることに徹する日々を過ごしていたある日、しゅんくんがわたしの足に身体を擦り付けてくれたのです。
しゅんくんから歩み寄ってくれた。
この瞬間の喜びは今でも鮮明に覚えている。
とはいえこちらから触れるなどもってのほか。
たまに身体や頭を擦り付けてくれるしゅんくんに悶絶しながら見守る日々が続きました。
わたしの手や腕にはいつもしゅんくんに付けられたひっかき傷があったけれど、それさえも愛おしかった。
一緒に暮らし始めて3年が経った頃、もしかしたらしゅんくんなりに懐いてくれてるのでは。と思い始めていた。
この子、気づくといつもわたしと同じ空間に居る。
帰宅すると一番に玄関に出迎えに来てくれる。(そして去っていく。)
決して近くに来ることも甘えてくることもないけれど、いつも同じ空間に安心した表情で居てくれる。
これがしゅんくんの距離感なんだな。と思うとすごく愛しくて。嬉しかった。
そして一緒に暮らし始めて5年が経った頃にはしゅんくんから甘えてくれるようにもなりました。
わたしが歯磨きやストレッチをしている時、お手洗いに入っている時限定で。
警戒心の強いしゅんくんは人間の無防備な状態を狙って甘えてくれていたんだろうな。
人間が無防備な時限定で甘えてくれるようになったとはいえ、この子は人間の寝床になんて絶対来ない子だよね。とずっと思っていた。
そんなしゅんくんがわたしのベッドに乗ってくれるようになったのは、一緒に暮らし始めて8年が経った頃でした。
わたしは嬉しくて、嬉しくて。
しゅんくんがベッドに居る時はびっくりさせないように距離をとって端っこで寝ていた。
甘えてきた時ならば顔まわりを触らせてくれるようになったしゅんくんですが、ボディは絶対にNGでした。
長毛種なのにブラッシング大嫌い。
抱っこもできないから爪を切ることもできない。
THE YELLOW MONKEYの【VERMILION HANDS】はしゅんくんのテーマソングだと思っている。
甘えてきてくれた時に少しずつ解して、毛玉を収穫していた。
家だとケアしきれないので定期的に動物病院へ行き、爪切りと毛玉のカットをしてもらっていた。
その度にしゅんくんに「病院に連れて行かれるよりお家で我慢する方がストレス少ないだろう?」と話しかけていた。
人間の言葉が通じるならば、説得できたはずなんだけれどな。
しゅんくんは自我の強いねこなので、聞く耳など持ってくれません。
可愛がられることが苦手なしゅんくんは、とっても可愛い子だった。
まだまだ一緒に居られると思っていた。
7月2日の午後
帰宅したら玄関にしゅんくんの姿はなく、リビングで歩けなくなっていた。
急いで病院へ連れていったものの、できることはほとんどないと言われた。
入院もできるが入院している間にもしものことが起きる可能性もあると言われた。
突然のことで何が最善の選択なのかわからなかったけれど、できる検査をしてもらい、注射を打ってもらって一緒に家へ帰ってきた。
翌朝もう一度病院へ行って注射を打ってもらう予定だった。
ずっと抱っこが嫌いだったしゅんくんが初めて無抵抗な状態で抱っこさせてくれたのが、最後の病院に連れていく時なんて。
本当はあの状態でも抱っこされるのは嫌だったろうから、「しゅんくんごめんね」と申し訳ない気持ちで抱っこした。
最後の夜は一緒にベッドで過ごした。
脳梗塞の影響で足が麻痺してしまったしゅんくんだけれど、21時頃自力で立ち上がって歩いたんだ。
「無理しないでいいよ」って言ったのに、しゅんくんはベッドの上をぐるぐる何周か歩いた。
ふらつきながらも、力強かった。
次の日病院でそのこと伝えたら院長先生びっくりしてたよ。
しゅんくんの意思の強さはすごいって。
眠るしゅんくんに寄り添っていたら、わたしもウトウトと眠りに入りかけていた。
午前0時過ぎ、腕に重みを感じて目が覚めた。
しゅんくんがわたしの腕に乗っていた。
あたたかいしゅんくんを撫で続けた。
「大好きだよ」「愛しているよ」って伝えながら撫で続けた。
腕の中でしゅんくんの鼓動が弱くなっていくのを感じて、己の無力さを痛感した。
撫でてるうちに、もうしゅんくんの中にしゅんくんの命が居ないことがわかった。
それでも撫でるのをやめられなかった。
あんなに頑なに触れさせてくれなかったしゅんくんの身体は、ふわふわで柔らかかった。
9年間一緒に暮らして、初めて抱きしめた。
本当は生きているうちにたくさん撫でたかった。抱きしめたかった。
でも、しゅんくんはそれを嫌がるから。
わたしはいつだってしゅんくんの意思を尊重していたかった。
こんなに突然別れの時が訪れるなんて。
わたし何の覚悟もできてない。
しゅんくんが老ねこになっていくのを見守って、介護することになるのかな。って思っていた。
でもきっと一番驚いたのはしゅんくんだと思うから。
わたしはしゅんくんを安心させてあげなければいけない。
わたしは永遠にしゅんくんのことを愛し続けるから、安心して虹の橋を渡れますように。
気高く美しいしゅんくん
わたしもあなたを見習って自分をしっかり持って生きるよ。
安心できそうな人にはたまに、少しだけ、甘えながら。
我が家に来てくれて本当によかった。
でもやっぱりしゅんくんの居ないこの家は寂しいよ。
2024.7.4 春乃ミア
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