職場体験のことを思い出した話
小学校の頃、職場体験という行事があった。3日間希望の職場で労働を体験するものだ。何週間か前に第3希望まで行きたい職場を選択し提出した。いずれかに本屋を希望したことは覚えている。ほかは覚えていない。
後日体験する職場が決まった。一つとして希望は通っておらず、どこから湧いてでたのか美容室行きが決まっていた。
その美容室行きのメンバーはわたしを含め3人で誰一人として美容室を希望した人はいなかった。そして3人とも第3希望までのどれも通らなかったのだ。
まさかそんなことがあるのだろうかと思った。希望が一つも通らないのであれば最初から適当に配分してくれたほうがマシだった。期待するだけ無駄だったわけだ。その他大勢のために我々3人は犠牲になったのだろう。ふざけた話だ。
まだ脳の発達していないガキンチョであったわたしにそれを指摘する知性はなかったが、確実になにかがおかしいことだけは理解していた。
そしてそんな溢れ者の我々は希望すらしていない美容室に押しつけられやりたくもない仕事の体験をすることになった。そもそもしたい仕事なんてなかったわけだが。
美容室での仕事といえど、ど素人の小学生に整髪を任せるはずもなく掃除と客の待ち時間の暇つぶしのために手品をしたのを覚えている。今更だが客として行った美容室で手品を見せられたら今後一切行きたいとは思わない。適当な雑誌でも提示しておけばいい。本当にあれはなんだったのだろう。
そしてメントールだかメンソールだのシャンプーで髪を洗ってもらいやたらと頭が涼しい体験をして、最終日は定休日と被っており労働もなく家でゴロゴロして全3日の行程を終えた。
当然行事であるため感想文や学んだことを文字にしたためたことと思うが、なにを書いたかは全く覚えていない。
美容室希望してない小学生3人に感想を求めるのも間違っているし、そんなやつらを押し付けられた美容室も可哀想だ。
3日目が休みであったことだけがいい思い出だった。
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