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現在は青森県在住の、樹木がとにかく大好きな18歳です。樹木の魅力を一人でも多くの方に知…

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現在は青森県在住の、樹木がとにかく大好きな18歳です。樹木の魅力を一人でも多くの方に知ってもらうために、noteをはじめました。 樹木の面白さ、楽しさに多くの人に気づいてもらうことで、「環境問題は、自分問題」という意識を広めたい、というのがぼくの最終的な目標です。

マガジン

  • 20歳樹木オタクの、ひとり演習林

    • 29本

    執筆者 三浦夕昇 樹木がとにかく好きな20歳。 日本の樹木や、森のことを、写真と共にゆる〜く解説。森の中を散歩するような気持ちで、お気軽にお立ち寄りください。個性豊かな樹木達が、いつでも優しくおもてなしいたします。

最近の記事

大地よりも古い樹が、消えようとしている 〜ニュージーランドカウリの物語〜 その②

歴史の絡まりに巻き込まれて (その①から続く) カウリに出会った最初の人類は、13世紀にポリネシアからやってきたマオリでした。 ニュージーランドに上陸するまでの5000年間、太平洋を端から端まで航海してきた海の民が、突然南半球最大の陸上生物に出会ったのです。彼らが受けた感動は、相当なものだったのでしょう、カウリの大木は”タネ・マフタ(マオリ神話に登場する森の守護神)の脚”として神聖視されるようになりました。 マオリ語には、偉大な人物が亡くなったことを意味する”kua hin

    • 大地よりも古い樹が、消えようとしている 〜ニュージーランドカウリの物語〜 その①

      島嶼生態学の授業で、先生が言っていたことが妙に印象に残っています。 「君たちが知ってるとおり、南太平洋の西側には、”New”がつく地名が多い。ニューギニア、ニューブリテン、ニューカレドニア、オーストラリアのニューサウスウェールズ、そして私たちの故郷(ニュージーランド)…。でもこれは、とても奇妙な巡り合わせなんだ。だってこの地域には、地球上のどこよりも起源が古い自然が広がっているんだからね。」 オセアニアに点在する”New 〇〇”という地名は、17世紀のヨーロッパ人探検家たち

      • フォレストリップ!日本全国、いちおしの森を集めました 

        現在ニュージーランドに留学中ですが、日本にいた頃に行った森の記録を日本花卉文化株式会社さまのアカウントで投稿しました。 日本はこれから夏本番、森歩きに良い時期になるのが羨ましい〜

        • 北島の巨大温帯林をめぐる その⑤ 〜樹がデカいことの意味〜

          その④から続く 樹がデカいということ ニュージーランドの針広混交林(Podocarpus and Broadleaf Forest)は、地球上で最も樹木が巨大化する土地のひとつ。一面がコケやシダに覆われた"森の底"を彷徨っていると、空の色を忘れてしまいそうになります。 巨木たちが、1000年の時間をかけて幹を伸ばし、天高いところで森の天井を張った結果、空が林床から大きく遠ざかってしまったのです。 ニュージーランドは、南太平洋の南端に位置しているため、サイクロンが接近する

        大地よりも古い樹が、消えようとしている 〜ニュージーランドカウリの物語〜 その②

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        • 20歳樹木オタクの、ひとり演習林
          29本

        記事

          北島の温帯雨林を巡る その④  〜霧に抱かれた巨木の聖域〜

          Rainforest Route ロトルアからフイアラウ山脈へと向かう国道の愛称は、「Rainforest Route」。ニュージーランド国内では珍しい、森をテーマにした観光案内。北島で一番森が深い土地に足を踏み入れるんだ、という高揚感が沸き上がってきます。 っがしかし。その名前に反して、Rainforest Routeの最初の数十kmは、広大な人工林を突っ切る直線路。どこまでも続くラジアータパインのプランテーションの中を、延々走り続けます。静岡県の新東名のような、退屈極

          北島の温帯雨林を巡る その④  〜霧に抱かれた巨木の聖域〜

          北島の温帯雨林を巡る その③〜ニュージーランドは本当に自然が豊かな国なのか?〜

          その②から続く なんでもない雑木林を保護する理由 ……しかし、自然保護区に行っても二次林しか見られない、というのはチョット衝撃です。 そもそも日本の感覚だと、「二次林をわざわざ保護する意味があるのか?」と思ってしまう。日本の二次林というと(地域によってずいぶん異なりますが)アカマツ・コナラ林ですが、そういう森は珍しくもなんともなく、住宅地の裏山で簡単に観察できます。神戸のニュータウンでデリバリーのバイトをしていた頃は、帰店時にチョット遠回りをして裏道のコナラ林を通り、ヘ

          北島の温帯雨林を巡る その③〜ニュージーランドは本当に自然が豊かな国なのか?〜

          北島の巨大温帯林を巡る その②〜人類初到達当時のニュージーランドの景色は、現存するのか?〜

          その①から続く その①で述べた通り、ニュージーランドの気候の一番の特徴は、「年間を通して気温が大きく変動しない」点であるといえます。 そういった気候は、畜産に最適。 温暖な冬のおかげで、牧草が年中手に入るのに加え、冷涼な夏は暑さに弱い家畜を飼育する上で好都合であるためです。しかも、畜産は循環型の産業ですから、木材産業につきまとう「資源の枯渇」という問題を心配する必要はありません。 このことに気づいたヨーロッパ人たちは、ニュージーランドを”森の国”から”牧場の国”に改造する

          北島の巨大温帯林を巡る その②〜人類初到達当時のニュージーランドの景色は、現存するのか?〜

          北島の巨大温帯林を巡る その① 〜人類が出会った最後の陸地は、深い森で覆われていた〜

          忙しくて、ここ1年ほど新規投稿ができていませんでしたが、最近ニュージーランドの森の記事を再び書き始めました。長らくご無沙汰でしたが、お読みいただけると幸いです((^O^))。今回は、去年の5月、北島の山奥深くの森林保護区に行った時のレポートです。 5つに分けて投稿します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 英語圏で人気のニュースサイト「Reddit」には、「Maps without New Zealand 」というジョーク掲示板が

          北島の巨大温帯林を巡る その① 〜人類が出会った最後の陸地は、深い森で覆われていた〜

          ニュージーランドでブナ林を探そう その④  〜地図は森がつくる〜

          その③から続く 翌朝、ダニエルさんの妹さんが「お昼ご飯にこれを持っていきなさい」と、トーストを持たせてくれました。うう、本当にお世話になりっぱなしだあ…。 札幌ラーメンしかお渡しできるものが無いのがマジで申し訳ないのですが、タウランガからまたお礼の品を送りますと告げて、ダニエルさん一家のお宅を後にしました。 ブナの街 まずは、昨晩ダニエルさんが教えてくれた「ナンキョクブナの大木」なるものを見にいかなくては。 開拓を起源とする街の多くがそうであるように、オハクネの街の区

          ニュージーランドでブナ林を探そう その④  〜地図は森がつくる〜

          ニュージーランドでブナ林を探そう その③ 〜”底のない湖”を抱く森〜

          その②から続く 家に招き入れてくださった男性は、ダニエルさんというお名前で、純粋なマオリ人でした。 その家は、ダニエルさんの妹さんのお宅で、ダニエルさんはその日たまたま泊まりにきていたそうです。妹さんもとても優しい方で、旦那さんと息子さんの3人で暮らしているようでした。息子さんは6歳で、恐竜が大好き。「僕の故郷の日本には、ラプトルという怖〜い肉食恐竜がいたんだぞ〜」と言うと、大喜びで自分の恐竜のおもちゃを見せてくれました。何年も前に、福井の恐竜博物館に行ったときの記憶が、

          ニュージーランドでブナ林を探そう その③ 〜”底のない湖”を抱く森〜

          ニュージーランドでブナ林を探そう その② 〜彷徨いの夜〜

          その①から続く ニュージーランドの国道の制限速度は時速100km。日本の下道とは比べ物にならないスピードで巡航できるので、あっという間に距離が稼げます。 そんなこんなで、ニュージーランド最大の湖・タウポ湖(Lake Taupo)に到着。約1800年前(西暦181年)の巨大噴火によって形成されたカルデラ湖で、面積は琵琶湖より少し小さいぐらい。ニュージーランド屈指の観光地ですが、今回はブナ林を目的にしているので、湖畔の通過だけでスルー。 しかし、朝日に照らされて滑りを帯びた群

          ニュージーランドでブナ林を探そう その② 〜彷徨いの夜〜

          ニュージーランドでブナ林を探そう その① 〜NZでの森巡りは、難しい!〜

          ニュージーランドの森巡り一発目のレポートです。 僕の学校では、4月中旬に2週間の長期休暇が設けられています。2週間もあったら、どっかの国立公園でたっぷり遊んでこれるやん……好機来たる。 ということで、見事な秋晴れとなった4月8日(南半球なので4月は秋にあたります)、タウランガを出発して、一路南へ車を走らせました。行き先は、「ブナ林」です。 森の分布は南北対称 え、ニュージーランドにブナ林?と、違和感を感じた方もいるかもしれません。多くの日本人は、「ブナ」と聞くと、東北

          ニュージーランドでブナ林を探そう その① 〜NZでの森巡りは、難しい!〜

          ご報告  ニュージーランドに引っ越しました 〜一生樹と付き合うために〜

          こんにちは。このnoteアカウント「harunire0321」を運営している、三浦夕昇(みうら ゆうひ)です。いつもマニアックな記事にお付き合いいただき、本当にありがとうございます。 今回は、いつもの樹木ネタではなく、近況のご報告。もしよろしければ、最後までお読みいただけると嬉しいです。 約2ヶ月前、3月初旬に、ニュージーランドの学校で環境学(environmental management,terrestrial ecology)の学士号を取るため、留学を開始しました。

          ご報告  ニュージーランドに引っ越しました 〜一生樹と付き合うために〜

          フォレストリップ‼︎  日本全国、いちおしの森を集めました Part④

          以前公開した「フォレストリップ‼︎」の記事が好評だったので、今回はその第2弾を書かせていただきました。 まず最初に、この記事でご紹介している森歩きスポットの”選定基準”についてちょっとお話させていただきたいと思います。 訪れる価値がある森って、どんなところ? 日本は、国土の約7割が森林で覆われた、世界有数の森林大国。人口密度が高いのにも関わらず、国土に広大な森が内包されている、という例は地球広しといえど日本だけです。日本の森は、”国を代表する観光地”として、世界中からビ

          フォレストリップ‼︎  日本全国、いちおしの森を集めました Part④

          木陰は、インフラである 〜夏の樹木たちが贈る、無償のギフト〜

          ひこにゃんとお城で有名な滋賀県彦根市の市街地には、「芹川(せりかわ)」という川が流れています。 芹川は、鈴鹿山脈を源とし、滋賀県東部の平野を縦断して琵琶湖へと注ぐ一級河川。1603年の彦根城築城の際、その周辺で流路の付け替えが行われたため、彦根市街地の芹川は人工河川となっています。 流路付け替えの際、芹川の両脇の堤にはケヤキやエノキ、ムクノキ、サイカチが植えられました。堤を補強するためです。 それから経つこと400年。結局、芹川は一度も氾濫を起こしませんでした。堤に植え

          木陰は、インフラである 〜夏の樹木たちが贈る、無償のギフト〜

          森のみち・木曽路 〜二輪で駆ける、世界有数の温帯針葉樹林〜 その③

          その②では、実際に森に入り、木曽の森の特異性を感じ取ってきました。ではなぜ、木曽の森の特異性は生まれたのか? ここからは、木曽の森の成り立ちを深掘りしていきたいと思います。 かなりマニアックな内容になりますので、眠たくなったら読み飛ばしてください(笑) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 木曽の森に針葉樹が多い理由 木曽で針葉樹優占の森が広がっている理由は、大きく2つあります。 ①気

          森のみち・木曽路 〜二輪で駆ける、世界有数の温帯針葉樹林〜 その③