古い土を掘り起こす(~2022年回想: 経験と気づき 1 - 空間の力)
『誰かにとって一番の癒しとなる空間をつくりたい』 これまでの人生の集大成とも言える私の夢
石ころのような数々の経験とそれによって得た気づきの点と点がある時線になり、それが私の大きな夢になった
石ころはただの石ころではなく、光り輝く宝石の原石だった
旅に出る時、寝るだけだから泊まる場所は安いビジネスホテルでいいと言う人は多いが、私は真逆の考えで、泊まる場所だけは絶対にいいところがいいと、安月給であろうとそこは譲れなかった
たとえ道中夜行バスであったとしても宿はその土地で一番気に入ったところを選ぶようにしていた
「転地療養」という言葉があるが
身を置く場所で気分が変わるということを若い時から私は感覚的に知っていた
きっかけは北海道のリゾートホテル
そのホテルを初めて訪れた時、私はまだ高校生で、夏休みに母の故郷に遊びに行った時だった
当時私は、思春期特有の得体の知れない将来への不安からか、訳もなく心が沈んだ日々を過ごしていた
全く何の楽しみも期待もなく母に連れられてそのホテルに入った瞬間、その真っ白な開放的な空間に心を奪われた
つきものが取れたように全身が一気に洗われる感覚があり、瞬時に「このホテルで働きたい!」と強く思った
それが私が空間に癒された初めての経験だった
それから数年の時を経て晴れてその夢が叶い、私は長らくホテルマンとしての人生を歩むこととなった
おもてなしに感動したとかそんな大層な理由ではなく、単に自分がその空間に癒されたという理由だけで入った業界だったが、結果としてホテルの仕事は私の性分にとても合っていたと思う
私は人生の大変な時期に何度も空間のパワーによって癒され、救われてきた
そしてある時それが人の救いになることにも気づいた
我が家に遊びに来た友人達は皆と言っていいほど長居をする
彼らに言わせると「なんか落ち着く」らしい
それは私にとって嬉しいことだった
今から数年前、大変なことが重なり鬱になりかけた友人を我が家で数日間休ませたことがあった
その数日間で彼女は自分でも驚くほどの回復を遂げ、私に「この家はすごく浄化される」と言った(彼女は人にはない特殊な力を少しだけ持っている)
私はその時、自分の創った空間が人の癒しになるということ、そしてそれが自分の喜びになるということを実感として知った
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