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種を蒔く(2024年秋: 始まりの終わり)

何と言うことだ
フレンチトーストを家に忘れ
スープもなくなった
お口直しのゼリーも底をつきそうだ
完全に計算違い
遠方からわざわざ来てくれると言うのに
これでは何のおもてなしも出来ないではないか

2024年11月3日(日) 春音プレオープン初日

この日最後のお客さまは前職でお世話になったご主人とその奥さま
テーブルに着くなり、品切れが多発していることを真っ先にお詫びする
そんなの大したことないと言うように口を揃えて「全然大丈夫」とあっさり私の罪悪感を吹き飛ばしてくれた
その微笑みにどれだけ救われることか

海外育ちのその人は、在職中からいつもストレートに意見をくれた
当時まだ自分の殻を破れずにいた私は、時に耳が痛くなることもあったが、彼のアドバイスは的確で、後になって彼が言っていたことの意味が理解できるようになる

言わないことが優しさではない
たとえ相手が傷つくかもしれなくても、相手のことを想い、勇気を持って伝えることが真の優しさだと思う

いまや人気イラストレーターである奥さまとは初対面だったが、駆け出しの頃から彼女の一番のファンである彼から話を聞いていたので初めて会った気がせず、3人であれやこれやと今後の私のお店について語り合った
プロフェッショナルな視点を持つ2人のアドバイスは私に貴重な気づきをくれた

昔からの癖で自分責めをしがちな私は、つい「ごめんなさい」という言葉を連発してしまう時がある
「ごめんなさいと何度も言われると自信がなさそうに感じるし、こっちも萎縮してしまう」と指摘され、ハッと我に返る
食事や飲み物をお待たせし過ぎている申し訳なさから「ごめんなさい」を無意識で連発してしまっていた
確かに、逆の立場で想像してみるとよく分かる
「初日でスムーズにいかないのはわかって来てるから」とすかさず優しいフォロー

改めて振り返ってみると、私がごめんなさいと連発してしまう時は事実自信がない時だ
自信がないのは絶対的練習量と経験値が足りないから
わざわざ足を運んでくれた友人達をがっかりさせないようにと必要以上に気を遣いあれこれメニューを広げた結果、どれもが中途半端になってしまった
これでは本末転倒だ
2人のアドバイス通り、まずはメニューを最小限に絞ってやってみよう

そんな気づきと共に無事 (?) 幕を下ろしたプレオープン初日
一日で笑いのネタがいくつできたことか
それでも「とにかく始める」という第一目標を達成できた自分のことは褒めてあげよう
本営業への道のりがまだまだ遠いことが分かっただけでも大きな収穫だ

楽しかったな...
カフェからの帰り道、私は温かい幸福感に包まれていた
その温かさは紛れもなくみんなからもらったたくさんの愛

「千里の道も一歩から」
一歩、いや半歩ずつでも歩み続ければいつか必ずその場所に辿り着ける
亀の歩みでも歩みを止めないことが大事
そう自分に言い聞かせながら
やりたいことを頑張れる日常に感謝しながら
私は今日も歩み続ける

夢を叶えた人が言っていた
「夢を叶える秘訣は、諦めないこと」だと

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