クリスマスイブ
彼女とは中距離恋愛をしているため
会う場所をどこにするかで
お互いの移動時間はだいぶ変わる
これまで
自分の地元で2回
彼女の地元で2回
お互いの中間地点で2回
それぞれデートを重ねてきた
なんだかんで
偏らずにバランスよく会えている
彼女が東京に来るのは
もうクリスイブ以来
2ヶ月ぶりである
2か月前はまだ付き合ってなくて
お互いをまだ全然知らないときだった
年末の忙しい時期であったが
仕事を早めに終わらして駅へ向かった
まだ当時は彼女の顔がすぐにはわからず
駅で少し探した思い出がある
なんとか合流すると
足早にレストランへ向かった
というのも
彼女の終電は22時台になるため
レストラン自体は21時半くらいには
出ないといけなかったからだ
都会の高層ビルにある
夜景の見えるお店に案内した
そこは靴を脱ぐ
ちゃんとしたお店だった
おもむろに靴を脱ぐと
自分の靴下の先に穴があいていた
その穴を必死に隠しながら席についた
慣れないコース料理を堪能していると
すぐに終電の時間となってしまった
急ぐように駅へ向かい
彼女を見送った
結局彼女は1分前にバスに乗ることが出来た
残っていた席は
通路の折り畳み式の
最後の一席だけだった
東京駅をヒールで走った彼女は
息を切らしながら席に座った
出発1分前の最後の一席
まわりの乗客の視線を感じた
近くにいた学生は友達とバスに乗っていた
「お姉さんデパコスの手提げ紙袋持ってるね」
「クリスマスイブだからかなー」
そんな会話を友達としていた
うっすらと聞こえた彼女は
顔を赤くさせ
しばらくうつむいて顔を隠していたそうだ
バスが家に着くと
まだお母さんが起きていた
そしてお母さんも
デパコスの手提げ袋が気になったようで
次の日お兄ちゃんに会うと
妹が「デパコスの袋持って帰ってきた」
と伝えたそうだ
そんなお母さんは
もうそのことは覚えていないらしい
これが2ヶ月前の話である