今を生きる老子「You Only Live Once」第9章
老子の話すことはわかりづらく理解できないことばかり。なかなか特徴がつかめないのですが、つい忘れてしまうような大切なことを教えてくれます。そして、老子は私たちが気づかないだけでたくさんいるのです。前回から引き続き老子の道徳経を読みながら私たちに備わっている老子センサーを取り戻すために少しずつ特徴をとらえていきたいと思います。
今回老子道徳経九章を読んで、老子の人格に触れてみたいと思います。
第9章
満ち足りた状態を失わないように、保ち続けるのはやめたほうがいい。刃物を鍛えて鋭くしても、持ちが良くない。金銀財宝が家にありすぎても、保つことができない。おごり高ぶって人を見下していると自分から身を滅ぼす。仕事が終わったら身を退ける。それが道というものだ。- 老子
今回も曖昧な表現が多くわかりにくいですが、ここからわかる老子の特徴を三つ考えて見たので紹介したいと思います。
➀謙虚
「おごり高ぶって人を見下していると自分から身を滅ぼす」というように老子は偉そうな人や富を持っているだけの人に対して批判的な態度をとっています。なぜなら、それでは長続きしないからです。
偉そうな人や名誉・富に執着する人は目立ってしまいます。結局、いつかは誰かの恨みや嫉妬を買ってしまい攻撃の対象になってしまう確率が高くなってしまう。その一方、謙虚であれば目立たないので攻撃される確率はぐんと低くなる。
老子はそれを頭で考えることもなく、自然と謙虚な人なのです。
➁ミニマリスト
老子は謙虚なだけでなくミニマリストです。
老子は富や名声を保つことに批判的だと述べました。それはあまり多くを持たないという意味でもあります。必要なものだけあれば、むしろ長生きなのです。
心配で蓄えてしまうのは人間の性ですがあまり持ちすぎても腐ってしまうし、場所もとる、考えることも多くなります。
しかし、必要なものだけだと心身への負担が減ります。だから、超長生きな老子はミニマリストなのです。
➂人生一度きりなんだから今を楽しめ
老子はシンプルで謙虚です。「満ち足りた状態を失わないように、保ち続ける」人や「仕事が終わったら身を退ける」ことができない人はは先の心配ばかりをしています。
しかし、そのような人たちに、老子は「心配してもしょうがない今を生きろ」と言っています。人間は富を持ちすぎ、欲が満ち足りすぎてしまうとそれを手放すことがなかなかできません。それが無い未来にに恐怖や不安を感じてしまうからです。
でも実際すべてのものは常に変化していて、富も腐るかもしれません。明日には自分の持っている名誉も不名誉になるかもしれません。だからこそ何も心配せず、流れに身を任せ今を楽しむことが良いのです。
この文字を書いている瞬間。読んでいる瞬間。もう取り戻すことができない時間。老子は今を楽しむことを体現していて、憂えることもなく今を生きている人です。
さいごに
ここで三つの特徴を述べました。謙虚、ミニマリストで今を楽しんでいる。これらの性格を持った人はきっと長生きするでしょう。もしかしたら、この老子の仕草を真似てみると殺伐とした社会で生きるのが少し楽になるかもしれません。実は老子というのは戦国時代に書かれた身を守る術であるとも言われて、少しでも争わずに生き抜いてほしい、そんな思いが込められているように感じます。
身近に当てはまる人はいませんか?ぜひ老子センサーを光らせてみてください。
参考文献
岩波書店 蜂屋邦夫注 老子
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