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人が紡ぐ星空の下で。【毎週ショートショートnote|お題【長距離恋愛販売中】参加記事

たらはさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。


観て何になる。何度もそう思いながら、結局はこの席に座っている。


都心と、そこから少し離れた田園地帯との学生交流。それは俺たちが
入学するずっと前から、母校とその提携学園とで行われていた。
彼女は、都会から俺たちの住む田舎へとやってきた、そうした交換留学生のひとりだった。


「カリキュラムに変化なんてないわ。同じところをやっているもの」

定期試験が近づき「都心から来たなら、問題は全部分かるんだろう、答えを教えてくれ」と求めてくる級友に、彼女は笑いながらそう言って断りを入れていた。

彼女の交換留学が終わる3日前。俺は彼女をプラネタリウムに誘った。

今夜の星空を投影してプラネタリウムが終わり、俺たちは外へ出た。さようならの代わりに告げた言葉は「一年後、ここで逢いたい」。

彼女は薄い微笑みを浮かべて、静かに俺を見つめていた。


一年経って訪れたプラネタリウム。彼女が俺に会いたいと思ってくれたかは、今でも分からない。投影を一人で観て、淡い期待を霧散させながら帰路に着く——


——はずだった。その心構えはできていたのに—


「久し振り。元気だった?」

変わらぬ笑顔が、そこにはあった。

一年前。俺は長距離恋愛のチケットを予約したのかもしれない。それは、これから確かめよう。前に一歩足を踏み出しながら、俺は思った。



拙稿題名:人が紡ぐ星空の下で。
総字数:540字


よろしくお願い申し上げます。

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春永睦月
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