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月蝕に隠されたものとは「毎週ショートショートnote:お題【月夜の寝ぐせ】」参加記事

たらはさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。


その夜は、月食であった。宵闇の時、月は地球に隠れて見えなくなる。真夜中の隠れんぼのように。

二人はいつものようにソファーに並んで座り、テオレを飲んでいた。お互いの息づかいだけが聞こえる、静かな夜。

「カフェオレじゃ駄目なのかな」
「月が隠れているからテオレなの」

意味があるようで、捉え所のない会話を交わす。

二人の間に置かれたのは古びたオルゴール。

緩やかに鳴る音色。
眠りに着く前、闇に霧散していく意識、その息継ぎのように。
止まりそうで止まらない、もどかしい程の速度で。
そのもどかしさを埋める。
いや、拡げてしまうのかもしれない。

そんな思いを潜ませて、男が女の髪を指で梳いた。

「らしくないこと、するのね」
「今日みたいな ―月が闇に消える― 夜にはふさわしいだろう?」

いつになく気障な男の台詞に、女が笑う。

「ふさわしくないのは、お前の髪だな。寝癖がついてるぞ」


……結局、男はいつものままだった。最後にムードをぶち壊してくれた男に女が溜息を付き、男は怪訝そうな顔で首をひねっていた。


拙稿題名:月蝕に隠されたものとは
総字数:437字

よろしくお願い申し上げます。

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春永睦月 | おふとんマン8号
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