凍った記憶を解かすには【毎週ショートショートnote:お題「記憶冷凍」】参加記事
記憶冷凍技術が一般でも使用可能になってから1世紀となった。亡き祖父母が「無くなっちゃあ敵わないから、思い切ってやってみるか?」「でもまだ安全性が確立していないから、どうかねぇ。私は反対だよ」とやりとりしていたのを、今でも覚えている。
忘れたくない記憶に限って、砂のように零れて落ちて消えていく。そんな台詞を書いたのは一体誰だっただろうか。俺にもある、消してしまいたくなくて、消えてしまいそうな大切な記憶が。
じーちゃんとばーちゃんが話してた頃、実は安全性などとっくに確立していたのだ。というか、既に一般化していた。価格が高価で、庶民には高嶺の花だっただけだ。
ばーちゃん、本当は怖かったのかもしれないな。自分の記憶野を弄られるようで。俺は半信半疑。記憶という目に見えぬ非物体、脳内での不可思議な現象を、人間が云々できるものなのか?と。
そんなことを思いながら、俺はラボラトリーのエントランスから外へと出た。
忘れねーよ、じーちゃんがくれたゲンコツの痛さも、その後でばーちゃんが差し出した黒糖饅頭の甘さも、何もかも全部。
二人が忘れても、俺が覚えているよ。
二人が忘れられてしまっても、俺の中に残っているよ。
冷凍保存したい程の記憶は、処理しなくとも俺の中にある。今日、俺は俺の宝物に保険を掛けたのだ。
最期の最期にそれを解凍し、共に逝くまで、ずっと。
拙稿題名:凍った記憶を解かすには
総字数:572字
よろしくお願い申し上げます。
#毎週ショートショートnote
#記憶冷凍
#お題で書いてみた
#ショートショートnote
#たはらかにさん
#AIとやってみた
#MicrosoftCopilot
#企画参加記事
#ほぼ毎日note
いいなと思ったら応援しよう!
拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。