肌で感じる予感【青ブラ文学部|女の第六感】参加記事
貼付記事以下、参ります。
※以下は完全なるフィクションであり、筆者の経験、知り合い等、その全てと全く関わりのないことをご理解賜りたく存じます※
ピンとくる、肌で感じる。この明確な説明ができず言語化が適わぬものは、案外と的を射ていることが多い。動物たちが持っていて、人間は疾うに錆び付かせてしまった「察知能力」というものに近いのかもしれない。
その男と出会ったとき、私は肌に薄ら寒さを感じた。彼は一見すると好青年、顔もハンサムといえる部類だし、物腰も柔らかくフェミニストに見えた。彼と私は同僚であったから仕事上の交流はあるし、会話は交わす。それを不必要に避けねばならぬ理由はない。だから私は、その他の男性と同じように、彼にも接していた。肌に感じる違和感を、そっと黙らせながら。
「同じ苗字なのも何かの縁かもしれないな」
さあ、どうでしょう。私たちの苗字は日本人でも五本の指に入るほど、数の多いものですが。
「お試し、って感じで、一回どうよ?」
何だ、お試しって。新製品のPRか?もう少し言い方というものがありそうなものである。第六感が働かなくても、このやりとりで御免被りたい気分にはなる。
彼に感じた薄ら寒さ。それは言葉に真実がない、上っ面だけを摺り合わせた調子の良さを感じていたからだと、振り返って思う。
そうして、その時、私は無難な答えをひねり出して彼に告げた。
「お茶っていうのも男女では白々しいし、食事でもどうですか?それなら構わないけど」
最初は、本当に食事だけで帰った。引き留める男を振り切って帰宅した、という表現が相応しい気がする。だが、我々が同僚であることは変わらず。規模が小さく、社員が少ない職場であったから、交流の数が増えることはありこそすれ、減ることはない。
これは、自分も大いに反省すべきなのだが、平たく言えば「避けるのに疲れた」というのが本音だった。そうこうしている内に、私たちはプライベートでも「お付き合い」というものをしている形を取っていた。
そうして、これもありがちな話であるが「一度食事を作りに来てくれ」と頼まれ、私は彼の住むアパートへ出向くことにした。
台所を借り、ごくありきたりな夕食を作った。料理が出来上がり、彼にそれを告げようとして振り返った時、あの悪寒が強烈に背中を駆け上ってきた。
借りた台所は、手入れの行き届いたものだった。彼は料理が壊滅的に駄目で、お湯すらも沸かせぬ人。それなのに清潔なシンク、充実した調味料etc.。その意味するところは、ひとつである。
「今日明日、オレ暇でさー。来てくれてよかったよ」
私の懊悩などどこ吹く風でそう言う彼に、私はこう告げた。
「明後日だと都合が悪いんでしょ?予定があって」
「は?何言ってんの?お前」
お前呼ばわりされる覚えはない。その言葉は心の中に仕舞って、私は区切りの言葉を告げる。
「あなたが誰と付き合おうが自由だけど。二股は御免です、私」
控え選手はベンチだけで良かろう。そう思いつつ、呼び止める彼の声を背中で聞きながら、私は帰宅の途に就いた。
この与太話には後日談がある、とある昼休みに「今晩、ちょっと相談に乗ってくれないか?」と彼から話しかけてきた。「カフェ、お茶のみ、19時には帰宅。それでいいならOKだけど」と告げると、是を示す頷きが返された。
そして告げられたのが「結婚を迫られている。どうしよう」だった。
なんじゃそりゃ。
自分で決めなされ。彼女と相談して。
そう言葉を返すと、呆然とした表情が返ってきた。
彼の結婚を告げる情報が職場にもたらされたのは、それから一週間後のことである。
第一印象。それで人の全てを判断できるものではないが、女の第六感は、案外と正確なもののようだ。等、与太話、お目汚しをいたしました。
拙稿題名:肌で感じる予感
総字数:1578字
よろしくお願い申し上げます。
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