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ボールと栗とカマキリと【#青ブラ文学部|お題『写真de妄想』】参加記事

山根あきらさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。

最後の1球を投げ終わって、俺のBaseballは終わった。記念に持ち帰るといい、と渡された野球のボールを何とはなしに弄んでいると、手からこぼれて、タンタン、と数度舗装道路の上を跳ねてから、道の片隅に転がっていった。



雨水升の穴がもう少し大きかったら、このボールは中に落ちただろう。辛うじてその場に留まっている球が、自分の置かれた環境と似ていて、何だか滑稽だ。苦笑いをこぼすのみ。


気付けば、季節は秋に差し掛かっている。バス停の待合所に、気の早い栗の実が二つ、並んでこちらを見ていた。



「明日にでも栗ご飯、炊いてもらうか……。いや、料理本を片手に自分で作ってもいい。どうせ時間はあるんだ」


ぽっかりと空いた時間を持て余している俺を、地面で鎌をもたげて何かを威嚇しているかのような顔をした、カマキリが無言で見つめていた。



拙稿題名:ボールと栗とカマキリと
総字数:354字


よろしくお願い申し上げます。




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