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朝霧二景。【シロクマ文芸部|お題「霧の朝」】参加記事
小牧さん、今週もお題をありがとうございます。貼り付け記事以下、参ります。
霧の朝。この言葉を耳にするだけで、色々なイメージが触発される。物語を紡ぎ出すのにピッタリな言葉の代表格だろう。折しも季節は晩秋。朝の冷涼な空気には朝靄が似合いそうに思える。
しばし考えを巡らせる。次の講義、よき課題となりそうだ。自分は職業柄、思いつく文学作品は幾つかあるが、他の人がイメージすると、どんな文章が抽出されるだろうか、霧の朝から。
「霧の朝かぁ。すぐに思いつく小説が一冊あるわ。『なんだそれ?』って言われそうだけどね」
俺の問いに答え、そう語りながら小さく苦笑いを零す直美に次を促すと、小説の一節を読み上げはじめた。
いつしか霧が出て、二人は白い世界に埋もれていた。
真っ直ぐに歩いている限りは迷うはずはないのだが、ミルク色の濃い霧は、自分の周り以外をすっかりと覆い隠してしまうので、本当は道の上を歩いているのかさえ、だんだんと自信がなくなってくる。
「典型的ライトノベルだし、お嬢様の世界だから、雅也には食指が動かないかもだけど。落ち着いた文体だと思うのよ。今読むと……ロマンチックすぎて自分に似合わないけどね」
いい作品に分類は関係ない。そもそも、そのようなものを俺は気にしたことがない。いいと思えば何にでも手を伸ばす雑食読書が自分のスタイル。
「そんなことはないさ。いいものはいい、それでいいじゃないか」
「そうね。今も好きよ、この作品は」
「それじゃあ、次は俺だな。これも『ん?』と思われる類だが。まずは一節を引いてみよう」
そう言って俺が手にしたのは一冊の文庫本。
いちめんの青い田圃は、早朝の日射しを受けて赤らんでいるが、はるか遠くの青黒い村落の森と接するあたりには、まだ夜の名残りの霧が残っていた。じっと動かない霧も、朝の光を受けて、かすかに赤らんで見える。
「時代小説は敬遠する人も少なくないだろうが。藤沢の品格は味わうに値すると俺は思う。『じっと動かない霧』という描写は、読者にとってどんな多弁よりも鮮明に光景を思い描かせる力を持っているよ」
つい語ってしまった自分の青さに苦笑いしながら、俺は直美に『蝉しぐれ』を差し出した。その『マリア様がみてる』と交換して読んでみないか?と誘いながら。
拙稿題名:朝霧二景。
総字数:955字(含引用部)
よろしくお願い申し上げます。
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