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陰と陽【米津玄師「月を見ていた」INSPIRE】

米津玄師、その名曲からストーリーを描く。その三回目です。BingAI生成画像を頼りに、挿絵多めで綴ります(概念よりのライトノベル風味?)


手を伸ばす。
届かない彼方へと。
漆黒の空、その遙か彼方から月光が射し込んでくる。
銀色の光に照らし出された立木の枝は、まるで風化した死骸、その骨のように見えた。

希望が欲しいわけじゃない。ただひとつが手に入れば、それでよかった。それさえあれば、他には何もいらなかったのに、大切なものから奪われて失われていく。私の希望は砂上の楼閣よりももろかったのだ。



思えば、3人でいられた頃から、わたしたちは別々の方角を見つめていた。やがて訪れる別離をあらかじ知っていたのだろうか。今となっては分からないこと。



あなたは今、わたしが見ることの叶わぬ世界にいる。今もひとりで闘っているの?愛しい弟はどこに消えてしまったのかしら。あなたにもわたしにも、それを探し出すことができないでいる。



わたしに与えられた力は小さい。ただ一度きり、儚い希望の光を灯すことだけ。それでも、そこに万感の思いを注いで、わたしは月を見ていた。


あなたの道行きに白馬を贈る。その歩みに少しでも力が与えられますようにと祈る。


わたしも赴こう、ただ一度の闘いに。この敵があなたを害さぬように、ここで消し去るのがわたしに与えられた役目なのだから。


整然と居並ぶビルを月光が照らしている。月光に照らされたビル街が紅色に灯りを灯している。ここにあるのはつかのまの平穏。一炊の夢のように。始めよう、最後の闘いを。祈るように願いを込めて。


fin.



米津玄師、他の曲から綴った二作は以下からお読みいただけます。


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春永睦月
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