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終わらない夏の夢魔。【シロクマ文芸部・新企画|#新しいジブン】参加記事
貼付記事以下、参ります。
それは何れの御時か。彼の者の影に怪しき姿が見えるようになった。その者が動けば影も動き、止まれば影も止まる。付かず離れず、悪しきものか否か、判断が付きかねる。本人にだけは見え、他の者からは見えぬそれ。他者に悟られると正気を失っていると邪推されるは畢竟。何事もない振りをするよりこれなく、日々は過ぎていった。
「ねえ、聞こえてるんでしょう?知らない振りは止めなさいよ」
頭の中に声が響く。
「ちょっと……直接脳内に話しかけるの、止めて。頭が痛くなるじゃない」
思わず苦情を言うと、声の主はフフっ、と小さな声を立てて笑った。
「言っちゃいなよ。今はわたしたち二人しかいないんだから」
ねえ、鳴海。
私の名を呼んで、見えない筈の唇が赤く妖婉に笑ったのが見えた。
「あなた……いつから……いえ、いいわ。それより、わたしはあなたを何て呼んだらいいのかしら?」
「やっとこっちを見る気になったようね。そうね……霧江とでも呼ぶといいわ」
霞か霧か。今だ為体のしれぬそれが、わたしに答え返す。その存在を認めてしまったから、話してしまった以上、なかったことにはできない。
暦の上では秋もはじまる頃、今年の夏はまだ終わりそうもない。夕暮れになっても湿り気高い空気は、襟元に張り付くように纏わりついて、肌に消えない感触を残していた。
現か夢か。目覚めて見る夢か。悪夢のような、甘美なそれは、赤い唇を細い舌で舐めながら、私の次の言葉を待っている。
「はじめるとしましょうか。いい子は今夜限りにして」
霧江とわたしの声が、重なって響いた。
拙稿題名:終わらない夏の夢魔。
総字数:654字
よろしくお願い申し上げます。
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