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『とある邂逅』毎週ショートショートnote:お題【世界一しょぼいタイムスリップ】参加記事

たらはさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。


何が嬉しくて、自分と見つめ合わなくてはならないのか。俺はいつもの道を歩いていたはずだった。ふとよろけた足下、体制を立て直そうとした時に、一度ぐるりと世界が回った。目を上げると、見知らぬ、だがどこか見覚えのある奴が立っている。

「何しに来たんだ……?お前と話すことなど、何もないんだが」

偉そうに。俺だってお前に会うつもりなんてなかったんだ。そもそも、こんなところに来るつもりがなかったんだから。

「お前は……俺か?」
「そういうことだ。全く、滑ったのか。粗忽な奴だ」

タイムスリップという現象だ。タイムリープならまだ救いもあるが、たまたま、偶発的に未来へ渡ったなら、さっさと元に戻る術を探すに限る。奴は吐き捨てるように俺にそう言った。

どうやら俺は30年後の世界に迷い込んだらしい。目の前に立ついけすかない男は30年後の自分。過去に遡ったのならタイムパラドクスというドキドキものの現象が起きうるが、今回は過去→未来。長居をせねばさしたことも起きぬらしい。

未来の自分。どうなっているのかは想像が付く。それほど興味も惹かれないな……と思っている内に、眼前の風景が揺らいできた。

「どうやら帰還できるようだ。二度と来るなよ、俺」
「来るかよ。じゃあな、俺」

なんともショボイ時間旅行だ。どうせタイムトラベルをするならば、全く見知らぬ世界に行ってみたいものだ。還ったら、あのSFを読み直そう。

そう算段する俺をどこからか見つめている視線。今回は「消されぬ」模様だが、次があるとするなら……

タイムパトロール、という言葉が、俺の脳裡でチカチカと点滅した。

                                                                                    (了)


拙稿題名:とある邂逅
総字数:661字

よろしくお願い申し上げます。


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春永睦月
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