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引用。黒田喜夫「沈黙への断章」。
懐かしく、かつ、重い言葉。 言葉で言葉を否定する魂。
師の評論集で、初めて出逢った詩人です。
明澄な仮の闘いに死んだあとおれは
もう一度沈黙に抗い
沈黙に生きる
もう一度言葉を信じない
おれは言葉でそれを告げる
彼の苦悩は、初めて触れた20数年前も今も私には分かりません。
ただ、思うはことは。
言葉は思いを裏切って、心をすり抜け違う形で届く。
届かなくて良い形で、届いてはならぬ先へと。
人に与えられた業と呼べるものたちの中、その最大のもの。
時には枷であり罰ですらあるもの。
それが言葉であると、言の葉を司る人達は皆思っているのです。
なれど人為るがゆえに、言葉をもってしか表すことが出来ぬ。
時に思う事があります。
私達は何故、動物たちの様に身体をもって
ダイレクトに繋がる事が出来ぬのか、と。
私の筆友が第一歌集を上梓した時、こんな事を言っていました。
「私は言葉を捨てるために詠んでいるのかもしれません」と。
皆が目を背けたくなる真実と向き合う。
それが表現者です。
願わくは。その「魂」に畏敬の念を捧げて欲しい。
言葉に人生を賭け人生を疾走した人に教えを受けた、市井の者、
一介の素人が思い願う事です。
黒田喜夫についてはWikipediaをご参照くださいませ↓
黒田喜夫 - Wikipedia
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