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「お蔵入り」した美少年のお話を――書き仕事の日々23
『書き仕事の日々20』で、「視点揺れまくり」問題について書きました。
すなわち、
「はるなの書く話は、登場人物の視点が揺れる」という問題について、
しかし、「結局どう書いたらベストなのか」は、
はるなにもいまだにわからないままであります。
正解がほしくてここまで読んで下さった方たち、ごめんなさい。
そんなこんなで、『ロクサリーヌ夜話』以降は、編集さんと相談した上で、
できるだけ視点がゆらゆらしないよう、試行錯誤しながら書いています。
つまり、女主人公ロクサリーヌ目線で書くように努力したわけだ。
読んでてわかりやすくなったでしょうか?
感情移入しやすくなったでしょうか?
ただね、心残りがある。
この恋物語は、そもそも、
とある港町の街角で、
道に迷った「ミスターダンディー」海将メムノンパパに、
美少年娼婦(推定年齢11歳?)が、
「遊びませんか」
と声をかける、きわどいシーンから始まっていたのでした。
はるなの頭の中ではね。(本の出だしとは違う)
あれこれあって、不器用な海将がこの美少年娼婦を身請けし、
あれこれ紆余曲折があって、ぶっきらぼうな美少年と海将が少しずつ信頼関係を築いていき、
美少年が成長して、海将の片腕となり、さらにあれこれあれこれあって、
(メムノンパパのせいで)大酒飲み大会?に出る羽目になった元男娼が、
優勝賞品だった高級娼婦と出会う場面が、
ようやく、本になった『ロクサリーヌ夜話』の出だし。
つまり、この美少年視点で書いた冒頭60ページくらい?が、
女主人公視点で書き始めたために、ごっそり「お蔵入り」に。
というのも、このお蔵入りになった冒頭こそが、
「いまどきの少女向けライトノベルとしては、ありえない設定」の核でした。
でもこの設定がなければ、あのお話は、はるなの頭の中ではなりたたない。
ガッシナさんが一般家庭で育った美少年ではなりたたないお話なのです。
やむなく、彼のこの生まれと育ち、背景――backgroundについては、
中盤以降の会話の中で、できるだけ、「におわせる」ようにしました。
ですが、
何しろ、他人にぺらぺらしゃべれるようなbackgroundではないし。
現代の日本ではあまりそこらへんにころがってるようなbackgroundじゃないし(あったら困るし)
はたして彼の複雑なbackgroundを、
読者のみなさんに、うまく嗅ぎとってもらえただろうか。伝わっただろうか。
そこらへんがね、力が足りない書き手としては、ずっと不安でした。
でも読者のみなさんの想像力を信じて、お任せするしかない。
ありがとうございます。サポートして下さったあなたのおごりでゆっくりお茶を頂きながら、次は何を書くか楽しく悩みたいと思います😊