【論文まとめ】高校生のメンタルヘルスに関する実態調査

武内・小島・藤田・渡邊の論文をまとめる

まとめ


思春期・青年期のメンタルヘルスの実態を明らかにするために高校生2451名を対象とした「メンタルヘルスの状態」「相談に関する意識」「援助要請行動」についての質問紙を実施。
結果、全体の27%が抑うつ的傾向があり、その多くは相談への不安・懸念を抱いている。自ら積極的な援助を求めることができない。援助を要請できない生徒を後押しする支援、相談の効果を実感できるシステムの構築が必要であると考えられる。


問題


子どものうつが注目されている

「不登校」や「引きこもり」の問題
→単位問題などからストレスが強まり適応障害、不安障害などにつながることも考えられる

メンタルヘルスに関する問題は個人だけで処理しようとすると事態は深刻になる傾向が高い。
=悩みを抱えた生徒が日常的に誰かに相談をしやすい、援助を求めやすい環境を作り出すことが重要

抑うつ傾向がある人に特有の、援助要請に関する抑制要因が働くのでは→相談をすることに対する意識のあり方が、相談援助を要請するための要因の一つとなる

相談することに対する生徒自身の良いイメージ
相談しやすい環境づくり

調査方法

対象 高校生2451名
質問紙法による調査
・抑うつ評価尺度(DSRーC)
・メンタルヘルス尺度短縮版
・相談への意識尺度
・援助要請行動尺度

結果

抑うつ評価尺度
第1因子 爽快感・活発 第2因子 悲哀・空虚感

メンタルヘルス尺度
第1因子 心身の不調 第2因子 対人関係不安 第3因子 痩身志向

相談への意識尺度
第1因子 相談に対する肯定的期待感 第2因子 相談に対する不安や懸念

第2因子の項目→自分の悩みをどのように話したらいいかわからない 自分の言いたいことを整理して伝えることができない 相手に話を簡単に流されると思う 相談した相手に嫌なことを言われる 話したことを他の人にバラされる

⏩当事者研究サポートグループでマシになるかも知れない

援助要請行動尺度
第1因子 日常的援助要請行動 第2因子 心理的・緊急時援助要請

各結果の男女差


抑うつ評価尺度
両因子ともに女子の方が有意に高い

メンタルヘルス尺度
全因子、女子の方が有意に高い

相談への意識尺度

両因子ともに女子の方が有意に高い
抑うつ傾向が高い人ほど、相談に対して不安を抱いて 期待を持てなくなっている

援助要請行動尺度

男子より女子の方が心理的・緊急時の会陰女要請行動が多い
→男子の方が相談しない

考察

2306名中621名がメンタルヘルスに関する不調を感じていることがわかった。これに対する対応が必要である。
また、女子だけに注目するとその値は31.1%と高い率となる

悲しい ・泣きたいといった気分的落ち込み
ひとりぼっちといった孤独な心理状態
にある傾向は女子の方が強い

生きていても仕方がない
という絶望感については男子の方が強い

思春期に抑うつを経験した者のうち62.4%が成人期以降に抑うつ状態を繰り返したり、自殺リスクが高まる(吉田・山下
 2008)
→学校は、将来のメンタルヘルス向上や自殺予防を考えた対策としても慎重でて暑い対応・教育が必要である

実際に他者に相談をするという行動を起こさせるためには、生徒自身がうまく話せなくても良いと安心してアクセスできる相談耐性や、相談することによる効果を認識し、相談相手に対する信頼感を形成することが重要である。



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