私の推し画家Vol.6(鈴木其一)
前々回No.4(岩佐又兵衛)での「洛中洛外図屛風」舟木本が岩佐又兵衛作と決定されるまでの経緯は↑この本に詳しく書かれています。2008年に辻先生が「舟木屛風は又兵衛だ!」と認めてから8年で国宝になったわけです。
そう言えば「豊国祭礼図屛風」も又兵衛工房作で又兵衛が全て描いたのではないらしい。これからの研究が待たれます。
さて今回の押し画家、鈴木其一も2006年のプライスコレクション展で初めて知りました。「何と鮮やかな色!」が第一印象です。タイトル画↑「朝顔図屛風(左隻)」はアメリカ合衆国のメトロポリタン美術館の所蔵で2016年サントリー美術館の「KIITSU 江戸琳派の旗手」展で里帰りしました。今の季節にピッタリの作品ですよね。
琳派の先輩に当たる尾形光琳の「燕子花(かきつばた)図屛風」に勝るとも劣らない作品ですがかきつばたは国宝です。朝顔の方は海外にあるので、国宝に指定できないんだそうです。右隻はこちら↓各182.9x396.3cm 19世紀中頃
尾形光琳「燕子花(かきつばた)図屛風」(各151.2x358.8)
18世紀前半 根津美術館
そう言えば若冲の「動植綵絵」も、宮内庁所蔵なのでこれも国宝に指定されないと聞きましたが、つい先日国宝に指定されましたね。其一の作品は結構海外に流出しているのだそうで、なかなか日本で観れなくて残念です。海外流出と言えば琳派の大先輩俵屋宗達の「松島図屛風」も合衆国ワシントンのフリーア美術館にあって、なかなか観る事ができません。こちらは、フリーアの遺言によって門外不出なのでワシントンまでおもむかないと見れません。日本にあれば国宝間違いなしだそうですが、大切に保管されているそうなので良しとしましょう。
↑上が右隻、下が左隻です。各151.9x356.0 17世紀前半
それに比べると、プライスコレクションはプライスさんの御厚意により日本に里帰りする事になり、若冲の「鳥獣花木図屛風」↓が出光美術館でまた観られる日が来るのが楽しみです。
伊藤 若冲「鳥獣花木図屛風」右隻(167.0x376.0)
18世紀 出光美術館
ここまでとりとめなく書きましたが、其一が生きた時代はマネの若い頃と被っているんですね。其一が37歳の時にマネが生まれた計算になります。
何とその時北斎は72歳、広重は35歳で其一と同じ時代を生きています。この頃浮世絵版画が大量に西洋に輸出されてパリでジャポニスムが起こり、日本では司馬江漢らの油絵や遠近法を取り入れた西洋画で相互に影響を与え合うようになっていたのです。
今年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」も丁度今この頃のことをやっていて興味深いです。さて、次は誰にしましょうか?お楽しみに!