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いやちょっと待て、の心得
急激に寒くなって、からだの中がどこかギクシャクしている。からだがイライラしてるというか。とはいえ春はもうすでにやってきていて、家の前の土の中からは蕗の薹(ふきのとう)が顔を出してきたので、つんで、今夜はそれを天麩羅にして蕎麦と一緒に食べた。その絶妙の苦さが口の中に広がると、ああ、春だなあと思う。春はまだまだ寒い。
街を歩いても、ニュースを見ても、なんで「緊急事態」なんだかわからなくなる。この国の人びとにとって、もしかしたら「生きる」とは概念的なことであって、生命とは何の関係もなく、お金の計算と似たようなことなのかもしれない。いや、そうではなくて、みんなもう打つ手がないのだ。できる限り、これまで通り坦々とやってゆく、というくらいしか手がない。でなければ、ウイルスに殺される前に国に殺されてしまう。
しかし… と、ぼくは考える。苦しい時には、いつだって、しかし、それにしても… まてよ、ダメだね、いやちょっと待て、と時間稼ぎをしながら次へつなげよう。
学校では、急激に寒くなって体調を崩すこどもが出ているという。その教室では、窓を開け放して扇風機が回っていると聞いた。愕然とする。扇風機は何のために回ってるんですかね?