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選べない/選びたくない

「よむ会」が近づいているので、今月の本を読んでいる。だいたい、いつも、近づいてから読むということになる。

今日、読んでいた中に「アイデンティティは一つじゃない」というパートがあった。

イギリスで著者の息子が通い始めた中学校で、校長と話す際に「ブリティッシュ・ヴァリュー(英国的価値観)の推進」がポリシーとして挙がっているのに触れて、「近年は『ヨーロピアン・ヴァリュー(欧州的価値観)』を打ち出すのが教育機関の姿勢として好ましいと言われています。どう思われますか?」と聞いたら、校長は「どうしてどっちかじゃないといけないんですかね?」と答える。

「僕は、イングリッシュで、ブリティッシュで、ヨーロピアンです。複数のアイデンティティを持っています。どれか一つということではない。それなら全部書けと言われるなら、『イングリッシュ&ブリティッシュ&ヨーロピアン・ヴァリュー』とでもしますか。長くてしょうがないですけれど」
 と校長は笑いながら言った。
「無理やりどれか一つを選べという風潮が、ここ数年、なんだか強くなっていますが、それは物事を悪くしているとしか僕には思えません」
 そう校長が言ったときに、サッカーボールが転がってきた。

この話は広げてゆくと最終的には「地球的価値」、いや「太陽系価値」とか「銀河系価値」とか、えーい、もう面倒くさいから「宇宙的価値」ということになるのだろうけどもちろんそこまで人間は大きくない。

「無理やりどれか一つを選べという風潮」は、ここ、日本ではどうだろう? と、おそらく(この部分が話に挙がるとしたら)「よむ会」では話がひろがってゆく。

(ちなみに来月の「よむ会」は、おそらく今年さいごの「よむ会」になると思いますけど、日本の学校教育について語るための本を選ぶ予定で、目下探っています。)

今日は満月で、明るくて大きな月が上がっている。

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(つづく)


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