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ふたをしても
水牛の寄稿を一回、お休みしました。
すると日本語が泣いています。
あわてて私は日本語にふたをしました。
ふたがやってくる 眠る代わりに
ありあわせの図鑑で「ふた」をすると、
もっとはげしく泣くのです。
貞和(ていわ)さん、冷たいあなたの教室、
にんげんの日本語はさらにはげしく泣きます。
(藤井貞和「001 続・日本語」、「水牛のように」2025年2月号より)
"日本語が泣いて"いるというのは、私には、新しい感覚を持って読めました。読んだのは昨日のことですけど、もう過去形になっています。新しいと感じるということは、自分はそのように感じてこなかったということでしょう。それはしかし、私の受け取って感じているものが、"日本語"ではないということもかもしれないのでしょう。私の日本語は、たぶん、いわゆる"日本語"ではないのです。ロックとか、もっと古いことばで言うと、ジャズとか、そういうことばと似ています。
ふたをしても、きっと泣いているだろう、と思って見ています。
(つづく)
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