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情がこぼれる/思いもよらないプレゼント

「オトナのための文章教室」は先月から道草の家の文章教室と名前を変えて、まあ、言ってしまえば“ただの文章教室”なんですが、横浜と鎌倉の2拠点で続けている。

“ただの文章教室”と、あえて書いたのは、教室として、「ここに参加したら、こういうことができるようになりますよ」といった明確な目的が、ないからだ。

参加者ひとりひとりには、何か目的があるかもしれない。が、それはあくまでも個々の問題であって、文章教室としては「真面目に参加すれば〜できるようになる」といったことを何ひとつ謳わない。

書いたものをどうするか、ということを主眼にはしていない(『アフリカ』という不思議な雑誌がありますから、よかったら書いてみて、とお話しすることはあります)。

書きたいひとは、しのごの言わず、とりあえず書き始めるしかない、と思っている。

そして、書き始めたら、終わりまで書ききるということをひとまずやってみればよい。

書くことは、とにかくその実践あってこそだ。では、“ただの文章教室”では何をしているのか? 各々が書いたものを持ち寄って、“ただ読む”ことをする。

“ただ読む”をして、“ただ語り合う”をする。

学びたいひとは、その中から、いくらでも学ぶことができて、書いてゆくヒントも見つけられるだろう。しかし、ただ、何となく楽しいから参加してますというのでもじゅうぶんだ。

楽しくないとね。そうでないと、続かないから。

書くことは、楽しい。書いたものを、読者に届けることは、さらに楽しい。読んで語り合うことも、なぜか楽しい。よくわからないけど楽しい。

「何を話しているかサッパリわからないけど、何だか楽しい」ということが世の中にはある。極論を言えば、目指すのはそれだ???

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先週の土曜は、再び鎌倉のゲストハウス彩で、やった。

その日、参加者のひとりは、「読んで、クスッと笑ってもらえるような文章が書けたら、嬉しい」と話していた。さっき、ここでクスッときてたじゃない? と思いながら聞いていた。

その日の、とりあえずのテーマは、「こぼれる」だった。

しかし、「こぼれる」にかんする話は、最後の方にきてようやく触れた程度で、あまりしなかったような気がする。「あ、今日は、こぼれる、でしたね?」と気が付いて確認しているくらいで。じつはぼくは、書くうえで(話すうえでも)テーマをそれほど大切に思っていないかもしれない。

でもよく考えてみて。「こぼれる」ものはいろいろあったんじゃない?

笑いがこぼれていたし、涙はこぼれていなかったようだが、愚痴のようなことは微かにこぼれていたような気もする、そんなことより、思いもよらなかったことばが、ポロポロこぼれていた。

さて、文章の中には、感情(情、情念、etc.)が秘められていて、それが「こぼれる」ことがある。

ある友人は、ぼくの書いたものをいろいろと読んでいて、「情が出ているものがよい」と、いつか言っていた。

それは、出そうと思って出しているわけではなくて、思わずこぼれてしまうようなものだ。

じつはもっとたくさん「こぼれる」ものがあったんじゃないか? と思って、その時間を振り返ってみているところだ。

今月は、また26日(土)に横浜で「こぼれる」をテーマに文章教室をやる予定なので、引き続き、思いを巡らせていよう。

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横浜では、野毛の地区センターの会議室を借りて、やっている。いかにも会議室といった場所で、机と椅子はたくさん、同じかたちのものがあるし、ホワイトボードもあり、機能的にはたいへん充実している。それはそれで、使いやすい。

一方、ゲストハウス彩には、そういった機能的なもの(?)は、あまりない。畳の上に座って、グダグダしながら読んだり、話したりする。そのかわり、「何あれ?」といったモノは、いろいろと目に入ってくるし、古い建物なので風が強いとガタガタ揺れたり、人が歩くと足音がトタトントンと鳴って耳を澄ませたりする。

何となく、ぼくの思い描いてきた"ワークショップ"の、理想形があるような気がしている。

機能的なものからは、その機能を超えたものを受け取ることができないが、その、不思議なというか、説明のスンナリゆかない空間からは、思いもよらないプレゼントがある。

そういったプレゼントには、ぼくは全幅の信頼を置いている。

(つづく)

その道草の家の文章教室、次回は9/26(土)に横浜でひらきます。参加申込、あと1名、受け付けています(9/7時点)。テーマ「こぼれる」ですが、「こぼれる」を頭の隅に置いて書きたいことを書きたいように書いてくださって結構です。初参加の方も大歓迎! お気軽に。(事前にお申し込みください、詳しくはこちらから)

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