複数のイメージ
20代のはじめ頃、「いつも通りにただずんで」という、120枚くらいの小説を書いた時、そのタイトルは、「いつも/通り/に/たたずんで」なのか、「いつも通り/に/たたずんで」なのか、はっきりしない、と言われた。
その通りだな、と思った。あまりうまくいってはいない。
しかし「これはダブル・ネーミングなんだ」と面白がってくれた人もいた。
自分には「いつも通り」という通りにたたずむ、行ったり来たりして、たたずむ、というイメージがあったのだが、よく考えたら、「いつも通り」ということば自体に、意味をひとつに固定しないような感じがありません?
大貫妙子さんの若い頃の歌に、「いつも通り」というのがあって好きで、それから書き出したものだったから、それ以上タイトルをいじくる気になれなかった。
今夜、ある絵のことが、なぜかとても強く思い出されて、自分の中に浮かんでくることばを掬い取り、書いていたら、そこに複数のイメージが浮かび上がってきた。2つの異なる意味がそこにあることは、以前からわかっていた。
しかし本当に2つなのか?
と思って見ていると、もっと幾つもあるような気がしてきた。
(つづく)
日常を旅する雑誌『アフリカ』最新号(2019年7月号)、相変わらず発売中。在庫が少なくなってきたので、お早めに。
「道草の家・ことのは山房」のトップ・ページに置いてある"日めくりカレンダー"は、1日めくって、12月12日。今日は、「生命の星」の話。
※"日めくりカレンダー"は、毎日だいたい朝(日本時間の)に更新しています。