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さらば。東急本店閉店のはなし

花に嵐のたとえもあるさ
さよならだけが人生だ。

2023年1月31日をもって
55年の歴史に幕を下ろした東急百貨店本店。

シブヤニア民(渋谷近隣に住む人)にとって忘れられない1日でした。

最終日は今までにない賑わいでした。

”東急本店””本店”と呼ばれ、シブヤニア民に親しまれてきた百貨店。
この東急本店の閉店で渋谷の街から”東急百貨店”という名前のデパートがなくなる日でもあります。
渋谷といえば東急。東急といえば渋谷。
そのつながりを深く感じる1日でした。

”いつもの”東急本店

長くそこに住む人たちが毎日通う”台所”であり
お化粧品やお洋服などを探す”ファッション”を求めるところ。
時間を忘れて読みたい本を探し求めたり、演劇や映画や美術に触れる”文化”のあるところ。
まさに”百貨店”でした。

青ストライプからこの紙手提げもすっかりおなじみ

トレンドもつくるけれど、いいものがそろっている。
そんな上物(じょうもん)だらけのちょっぴり敷居が高い場所。
比較的、年齢の高い方が集まるため穏やかな空気が流れるお店でした。
多くのひとの待ち合わせ場所でもあり、
地元にいるファミリーにとっては通学路や集団下校の解散地点だったりと、買い物以外に多くの人が集まることもあったので
住宅地がすぐそばにあるなど他の百貨店にはない地域特性もてつだい、
≪百貨店。なのに大きな個人店≫でもありました。

シブヤニア民と東急本店の歴史

東急本店が開店したのは1967年(昭和42年)。

閉店後、最後のポスター
1916年(大正5年)に創立された渋谷区立大向(おおむかい)小学校跡地でした。
大向小学校は東急本店開店の3年前。東京オリンピックの年に渋谷区役所の隣に移転。統廃合され今は神南小学校です。
写真にある東急マークの集合写真に神南小学校の生徒が参加していたりと
今でも関係は続いています。
東急本店を中心とする現在の松濤1丁目、道玄坂2丁目、神山町、宇田川町の一部を大向通地区と呼んでいたそう。
109から東急本店までの坂を本店通り(今では文化村通り)、そこから神山町に向かう道が大向通りだったようです。
現在、大向の名を冠した場所はほとんどないためピンとこない方も多いですが(わたしもその1人でした)、東急本店から旧山手通りに向かう途中に区立大向地域交流センターや区立大向保育園が残っています。

渋谷駅から大向地区にある住宅街の"まんなか"にあったのが東急本店
高度経済成長期やバブル、コロナの時も
衣食住をささえ文化を愛する渋谷の人々の"まんなか"にいる。
そんな存在でした。

"まんなか"がなくなるということ

最後のセレモニーのようす

東急本店がなくなることが発表され多く聞こえたのが
『いつまでもあると思っていた』『あるのがあたり前だった』『なくなるということがあり得ない』という声。
最終週には必要なものを買い求めるというよりお別れを惜しむために
いままでにないくらいの賑わいを見せていました。
まるで、ひとつの人格のよう。
それだけ地域とのつながりの深さを感じます。


ドライフラワーで作られたモニュメント

わたし自身、その敷居の高さからヘビーユーザーではありませんでしたが
こころの潤いを求めてお店を見るくらいの愛がありました。
なくなることが分かってあわてて通い、惜しむときに感じる
『じゃあふだんからもっと行けばよかったじゃん』
とても大切だということを改めて感じました。
建て替え後に百貨店としての存続をやめる。ということは
ネットショッピングを駆使し、実店舗で買わなくなったということのひとつの結論だと思います。

シブヤニア民のわたし、最後のお買い物は…

そんな東急本店で最後に買ったものがむすめのご飯茶碗でした。
前日に見たものは品切れで子供にしては地味なもので不服そうでしたが
『中学校に行っても使うものだよ!』というと納得し、
受け取るときにはうれしそうでした。

6階で見つけました


縁あってシブヤニア民に嫁ぎ、わが家は義祖母からむすめまで4世代で東急本店にお世話になっていました。
わが家にあるもので本店で買ったものはたくさんたくさんあります。
この記事に使った写真のあれもこれもそれも本店で買ったもの。
本店の開店から閉店まで!55年間途切れることなくお世話になっていたなんて驚きです。

そんな最後に買った本店のお茶碗。10年も20年もその先も大切に使ってもらいたい。使う前からもう思い出がいっぱい。
30日には感謝を込めてお花を買いました。気になっていた本も買い忘れていた漫画も買いました。これからどこで買えばいいんだろう。
きっとわたしと同じ思いの人が多くいると思います。

これからの渋谷とシブヤニア民は…

2月1日から、渋谷に東急百貨店がない世界が始まります。

7階で思わず手に取りました

奇しくも2022年は東急創業100周年を迎え、
【これまでの100年とこれからの100年】の渋谷と東急のことを知りたいと思うようになりました。
きっと本店の閉店が渋谷の街にとって大きな転機なのかもしれません。
それはシブヤニア民も同じ。
再開発って発展する。便利になる。というポジティブな印象でしたが、
これからどうすればいいんだろうという寂しさや心配。失うものの大きさを体感するのは初めてです。
それだけ本店がこの街に貢献してくれていたってことですね。
どんなに不安でも【未来は明るいに決まってる】ので100年に1度の再開発をみんなで見守りたいと思います。

従業員として見送った東急東横店東館。まさかまさかのコロナで不安な中最後を迎えた東横店。ずっとあると思っていた本店…と、短い期間にそれぞれ違った思いで3つの閉店を迎えることになるなんて!
なんだか不思議な気持ちでいっぱいです。
悲しいはずなのにシブヤニア民の思いが詰まった
愛にあふれたラストでした。
Bunkamuraはもう少し運営するそうなので
マリーローランサンでも観に行こう。

あふれるほどの感謝とREstartに
saravah,saravah
(祝福あれ)
はるみそ。


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