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ドビュッシーの作品『子供の領分』の背景が思ったよりもドロドロだった

ピアノ教室でドビュッシーの『グラドゥス・アド・パルナッスム博士』を練習することになった私が,先生と話して知ったことについてゆるゆると書いていきます.

前2つの記事はハウツー的な内容でしたが,今回はエッセイとかコラムに近いのかなと思います.もっと個人的な,日記にも近いかもしれません.


自己紹介

ゲームとピアノをこよなく愛する、陽未音ななみと申します。「はるみね」と読みます。VTuberやってます.

当方,小中9年間くらいピアノを習っておりました.『こどものバイエル』から始め,有名なピアノ曲やポップスを弾き,最後の方はショパンを弾いていたと記憶しています.高校では趣味で簡単なポップスを弾く程度で,大学以降はほとんどピアノに触れていませんでした.コンクールなどの参加経験はなく,楽典・ソルフェージュ等の勉強はあまりしてきませんでした.

初めてドビュッシーを弾くことに

そんな私ですが,最近ピアノ教室に再び通い始め,ドビュッシーの『グラドゥス・アド・パルナッスム博士』を練習することになりました.

体験レッスンの際に,「弾いてみたい曲ありますか?」と言われて私がこれを口に出したことがきっかけです.この曲を指定した理由は,もともとドビュッシーの『月の光』が好きだったのと,最近とある有名Vの方が『グラドゥス・アド・パルナッスム博士』を弾いているのを聞いて好きになったからです.

早速,楽譜を購入することになり調べましたが,どうやらこの曲はドビュッシーの『子供の領分(原題:Children's Corner)』という組曲に含まれる曲の一つのようです.

『子供の領分』とは?

Wikipediaによると,以下のようにあります.

この作品は当時3歳だったドビュッシーの娘クロード・エマ(愛称 “シュシュ” Chouchou)のために作曲された。この作品は子供に演奏されることを意図したものではなく、あくまでも大人が子供らしい気分に浸ることを目的とした作品である[1]。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

このように,『子供の領分』はドビュッシーが娘のために作曲した曲集だそう.
自分はこの話を何となく知っていて,「娘のために書いた曲なんて素敵じゃないか」くらいに思っていました.

ピアノ教室での初めてのレッスンで『グラドゥス・アド・パルナッスム博士』の練習を始めた時,先生とこの曲の背景の話をしていました.しかし先生は「もっと複雑な背景があるよ」と言いたげな顔で,手元のiPadで何やら検索し始めました.

ドビュッシーの人間関係

その背景には,主に3人の音楽家が登場します.エンマ・バルダックガブリエル・フォーレ,そしてクロード・ドビュッシー本人です.
エンマ・バルダックは,ドビュッシーの妻で声楽家です.前述のシュシュはエンマとドビュッシーの娘です.
ガブリエル・フォーレは音楽史でも名前を見ることがある,ドビュッシーと同じ時代を生きた音楽家です.といっても歳の差は17歳くらいあります.

早速これらの人物との関係性について書きますが,複雑なので作図しました.

家系図と相関図を混ぜたらカオスになったの図

まず,エンマとドビュッシーは互いに不倫の末,再婚していました.ドビュッシーにはリリーという元妻が,エンマには銀行家の夫と二人の子供がいました.エンマは長男ラウルを自分と同い年のドビュッシーに師事させており,そこからドビュッシーとの恋愛関係に発展したそうです.
ドビュッシー目線は,教え子の母親と不倫している形になります.昼ドラか?(なお昼ドラを見たことはない.)
その後駆け落ち同然に再婚したとのこと.

だがそれだけでは話は終わらず.実はエンマは,ドビュッシーの前にフォーレからも求愛されていたそう.(現代に名を残す音楽家を2人も虜にしているとはすごい...)
「フォーレとの愛人関係を終えてドビュッシーと出会った」とあることから,フォーレとも不倫していたように見えます.フォーレは,エンマとその娘エレーヌに向けた組曲『ドリー』を作曲しています.それほど愛していたのですね.

ドビュッシーは「初めての子であるシュシュを溺愛した」とあるので,前妻のリリーとの間には子供はいなかったように見えます.前に子供を授からなかった理由までは調べていませんが,相当嬉しかったのでしょうね.

ドビュッシーの人間関係は知ってみると複雑で,不倫・駆け落ち・再婚といった,ドロドロな背景があったのでした.
ただ『子供の領分』が,「ドビュッシーが待望の第一子を溺愛して書いた曲」であることに変わりはなさそうです.

終わりに

今回の内容は,ピアノ教室の先生と話したことに絞ったものなのですが,後から調べてみると,そもそもドビュッシーは女性関係においてのトラブルが絶えなかったようですね.他にもエピソードがありそうで気になります.

ピアノ教室を辞めてからはポップスばかり弾いていましたが,最近クラシック音楽も好きになってきて,音楽史を学び始めました.そして,こういった音楽家の生涯にも興味が湧くようになってきました.(その辺の経緯もいずれ話したいですね.)教室の先生からもこういう話が聞けてめちゃくちゃ楽しいです.

今後も面白い話があったら,備忘も兼ねて書いてみようかと思います.それではまた次回の記事でお会いしましょう〜.

参考


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