パーソナル・フェイストレーナー木村祐介が語る「顔と身体と美的センス」(前編)
鏡を見て、自分の顔が「疲れてるな」「たるんでいるな」と感じた時、環境や生活習慣もさることながら、実は自分がそうさせている可能性がある……!そう唱えるのは、日本で唯一のパーソナル・フェイストレーナー、木村祐介さん。顔を身体とのつながりで考え、自分の意識を変えれば、なりたい顔、なりたい自分になることも可能だという木村さんのアプローチは、とても興味深いものだった。
自ら作った「顔を鍛える」という道
巷で「小顔ワークアウト」という言葉を聞いた。顔を鍛える?どういう事?最初はハテナがたくさん浮かんだがとにかく興味しかなかった。
それを提唱しているのが日本で唯一のパーソナルフェイストレーナーの木村祐介さん。自身のSNSでは肩書きを「身体調律家」としている。そのSNS上で惜しげもなく自らのメソッドを発信していたその姿を見て、語り口調がとても理論的かつなぜかとても哲学的だと感じた。ロマンチック?というと語弊があるかもしれないが既存の「トレーナー」という概念と少し違う存在感があった。
一体その肩書き、そして存在感にどのようにたどり着いたのだろうか。実はそこには木村さんの生き方と軌跡が大きく関係していた。
「僕は最初はスポーツトレーナーから身体に携わる道に入りました。アスリートの身体の故障や不調を整える、戻すという施術です。でもだんだんと業界が違うと感じ始め次は小顔矯正の方へ。いわゆる小顔マッサージなど骨格を一時的に抑えるようなものです。でもこれもすぐに呼吸などの作用で元に戻ってしまい根本的な変化にはつながらないと感じたんです。そこでもっと理論的に顔と身体のつながりを研究して辿り着いたのが今のメソッドです」
様々なアプローチで身体を改善するプロとして向き合ってきた木村さんだからこそ気付いた、自らが先駆者となって紡いでいきたいと感じた道。それこそが顔を鍛える、というアプローチ。それは一体どういうものなのか。
「端的に言うと、まず大事なポイントは口とつま先であるということなんです。顔につながる筋膜は実はつま先から顔にぐるっと一体となってつながっています。そう考えた時に唯一空洞となってそのつながりが途切れるのが口の空間。なのでそこを意識的に力を入れて閉じることで顔と身体を繋ぐことができるんです」
顔を身体とのつながりの中で考えていく。木村さんが美顔・小顔のスイッチはつま先にある!という裏にはそんな理論があるのだ。まずここで目からウロコ。顔を引き上げるスイッチがまさかこんな離れた場所にあったなんて、自ら気付ける人はほぼいないだろう。
日常の所作からボディを変える
顔を鍛える、というとなにかとてつもなく特別なことをしなくてはいけない気がするのだが木村さんはそれに対して首を横に振る。
「基本的にはみなさん、日々のお仕事や家庭、ライフスタイルの中で時間がありません。なので僕のメソッドは極めてシンプルに。そして日常生活の中に溶け込ませること、を念頭に出来ています」
理論に忠実に基づき無駄を削ぎ落としたからこそ辿り着ける手法なのだ。
「その時に大切なのは普段の所作。どうしたら顔が引き上がるか、気づきを与えて普段の自分の脳から身体への指令を変えることです」
つまり、木村理論では肩凝りがひどい人は肩凝りするように、顔がたるんでいる人は顔がたるむように脳が指令を出してしまっているのだという。
……なんて恐ろしい!!
それは、頭の重みを支えるために脳が指令をして姿勢を変え、それを支える筋肉をつけている。つまり、肩凝りの姿勢、顔がたるむための姿勢を自ら作ってしまっているというのだ。
にわかに信じがたいが説明されればされるほどその通りな気がしてくる。
「改善するためには、顔がたるまない姿勢を覚えること。その人にとって正しい姿勢と所作を脳に覚えこませるということです。そうすれば間違った指令を出さなくて済み、逆に綺麗になる指令を出してくれる。そのための気づきを与えるんです」
イメージの力が出来ることは無限
木村さんは、インタビュー中、何度も「美的センス」という言葉を使っていたのが印象的だ。
「自分が綺麗、美しいと思う人や姿勢、その人の所作をイメージすること。これは何より大事でそこに美的センスが必要だと思うのです」
どういう身体になりたいのか、そのイメージによって自分にとっての正しい姿勢、必要な所作がわかってくるのだ。
「僕のトレーニングはそのイメージを養い、その人にとっての「良いフォーム」を探り脳にそして身体に気づかせ調整のお手伝いをすること。だからそれを“調律”と呼んでいるんです」
目指すのはその人史上もっとも骨格にフィットした顔面
そんな木村さんが思う、美しい状態の小顔とは?
「骨格に皮膚がフィットしている状態。その人史上最もフィットしている状態こそが目指す小顔です。それには身体と顔とあらゆる部分が引っ張りあってテンションが掛かっている状態である必要があるんです」
まさにつま先から頭の先まで、身体中に意識が行き渡っている状態。
「オーラをまとう、全身に気をまとうっていうのはそういうこと。そうなってくるといわゆる“あの人雰囲気あるよね、オーラあるよね”という雰囲気を醸し出す人になると思うんです」
オーラは作れる、とは聞く言葉だがどういう状態の人がそうなのかまでは考えたことがなかった。全身に気を纏った人こそがオーラのある人。そこまでの道筋を初めて論理的に理解した気がした。
(第2回につづく)
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