嘘の話
友人の結婚を祝えない僕は悪なのか。
僕の友人がプロポーズし、先日両親への挨拶を済ませたらしい。あとは籍を入れるだけという場所に立っている。
僕には結婚がめでたいことなのかわからない。正しくはわかるのだが納得できていないという状況だろう。家族になるというのがめでたいというか、愛する二人同士がずっと暮らしていこうという選択の決断ができたことにおめでとうと伝えればいいのだろうか。
友人にはおめでとうと伝えたいが自分の中でこれでいいのかと迷っている自分も確かにいるのだ。友人ならば大切な友人ならば自分の気持ちを伝えても許されるのではないかと期待しているところと、そんなことはせずにお祝いモードに心を入れ替えてハッピーウェディングといこうじゃないかと心は揺れている。
もし僕に大切でもう一生手を離したくないとそう願う人が現れて喜ばしいことに結婚するとなった場合に友人に結婚という制度にはいささか懐疑的なんだと言われたらどうなのだろう。お前も結婚したらわかるよとか言ってしまうのだろうか。経験したことしか話せないのならミステリー小説もSFもこの世にはないのだ。
話はそれたが僕は素直におめでとうと言えるそんな気持ちをどこかに置いてきてしまったのかもしれない。そう考える方が自分には楽だからそう思って伝えることにしよう。おめでとう
嘘の話