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書籍化できなかった幻の新人賞受賞作が、7年の月日を経て日の目を見た話
『ぼくらの胸キュンの作り方』(講談社)が本日発売となりました✨
今作は、中学生男子が原作と作画に別れ、二人で少女漫画を作っていくお話です。そんな今作、彼らが作る作中作が登場します。こちらが目次です。
![](https://assets.st-note.com/img/1693276048699-0Nv3mOmEwQ.jpg?width=1200)
この『恋する放課後クリーンタイム』というのが作中作なんですが、実は7年前に書籍化できなかった幻の新人賞受賞作が基になっているのです。
■書籍化できなかった新人賞受賞作
私は7年前に某新人賞で優秀賞を受賞したのですが、優秀賞は書籍化確約ではなく、授賞の直後くらいに新作をゼロから作る方針となりました(これがまたスーパーウルトラハードモードで、刊行まで丸2年かかった)。
そういうわけで、お蔵入りになった受賞作。講評でも色々コメントをもらい、確かにこの原稿は使えないなと自分で納得もしてました。
が、美化委員というモチーフだけは、どうしても諦めきれずにいました。受賞したのに、という心残りもやはりあったと思います。
■模索すること6年
そこで、美化委員というモチーフだけを残し、新作の企画として練り直すことにしました。ほかの版元さんに、機会があれば美化委員のお話を提案していったのですね。
が、足かけ6年、いい反応はまったくなし><
そんなわけで去年の年明けくらい。講談社の担当さんに新作の企画を見せる段になり、いつものように案を5つくらい提出。そのなかに、例のごとくで美化委員のものも混ぜました。
正直、まぁダメだろうなと思ってました。書籍化できなかったし他社でもこれまでずっとダメだったってことは、何かが根本的にダメなんだろうなという諦めもあり。
そして、このとき採用された企画は『ぼくらの胸キュンの作り方』。こちらもすごくやりたかったので、それはそれでよかったと思っていたところ。
『美化委員のお話も気になるので、作中作として使いませんか?』
というようなことをおっしゃってくださり……(TT)✨
こうして、思わぬ形で日の目を見るチャンスをいただいたのでした。
本当に本当にありがとうございます……!
なお、そのときに担当さんには、その企画のベースが実は幻の受賞作だということは伝えてあります。とても面白そうだったので、ともおっしゃってもらえ、なんだか6年前の自分も救われました。
書籍化できなかったけど、誰かに面白いって言ってもらいたかったのかもしれないです。
■6年ぶりに書く
前述のとおり受賞原稿はそのまま使えるものではないですし、今回の作中作の原稿はもちろんゼロから書きました。ストーリーラインも当時のものとは異なるし、作中作なのでボリューム的には長編の1章程度のものなので、完全に別物です。引き継いでいるのは美化委員というモチーフとキャラの名前くらいでしょうか。
当時の受賞作を改めて見直して、設定も緩い部分があるし、児童文庫で書籍化できなかったのはしょうがなかったと改めて思いました。でも、やっぱりずっと書きたかったキャラを、作中作であっても形にできたのは、本当に本当によかった。
■イラスト
今作の装画担当は木乃ひのき先生なのですが、木乃先生にはデビュー2作目の「この声とどけ!」シリーズでもご担当いただいていました。新人賞受賞後に、ゼロから書いて刊行まで2年かかったという作品がこちら。
そんなわけで、受賞作を書籍化できなかったレーベルでご担当いただいた木乃先生に、偶然というか巡り合わせというかで、幻の受賞作が作中作の本作もご担当いただくことに……!
今回、作中作の漫画ページやキャラも描いていただいてるので、なんかもう二重の意味で無念が晴れた気持ちです。
本当に本当にありがとうございました(TT)
■過去にこだわりすぎるなかれだけど
基本的に過去は忘れるタイプです。気にしてもしょうがないし繊細だと生きていけない世界なので、過ぎ去りし日の心残りは心のノートにそっとしまい、悔しかったことはいつかネタにするつもりでテキストデータにまとめて保存し、基本的には忘れるようにしてます。
それでも、どうしても捨てきれず、諦め悪く6年間、機を伺い続けてきてよかったと心底思いました。
小学校に入学して卒業する以上の時間はかかったけど、形はどうあれ日の目を見ることができてよかった。
一つの作品にこだわりすぎてもダメだというのは常々思っているし、それは今も変わってません。切りかえて次に行くべきが基本方針。
それでも大事にしたいものを、こっそり持っておくのもいいんだなと改めて思いました。
作中作にとおっしゃってくださった担当さん、再びイラストをご担当くださった木乃先生、そして今作に関わってくださったすべての方に感謝しています。無事に発売までこぎつけられ、7年越しの心残りが浄化されました。次のステップに向かわなければと思います。
『ぼくらの胸キュンの作り方』、楽しいお話なので、ぜひ読んでみてください!!
![](https://assets.st-note.com/img/1691667580246-R0kCvpk7bv.jpg?width=1200)
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