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色んなジャンルで書くということ
先日発売の、日本児童文学者協会の季刊誌『日本児童文学』2024年7・8月号の「児童文庫の世界」という特集で、「児童文庫と児童文学のはざまで」というエッセイを書かせていただきました。
一応児童文庫の新人賞をもらい、現在デビュー7年目という気がつけば新人とは名乗れない感じの中堅になっているのですが、豪華なメンツに交ぜていただいちゃって恐縮&偉そうなことを書いたような気がしなくもなく、まぁこんな感じのことを考えてるヤツもいるらしいと思ってください……。
そんなエッセイでも書いたのですが、自分はデビュー作がライト文芸、新人賞は児童文庫、その後もらった日本児童文芸家協会賞・児童福祉文化賞は児童文学(YA)という感じで、現在進行形でジャンルの幅は広めでやっています。現在進行形で、とわざわざ書いたのは、途中で活動フィールドが移り変わっていく作家さんも多いと思うのですが、今のところすべてのジャンルで刊行を続けてるからです(もちろん私以外にもそういう作家さんはたくさんいるのですが)。
色んなジャンルで書くということについて、ちょっと書いてみます。
■そもそもジャンルを跨ることになった経緯
電撃小説大賞拾い上げきっかけでデビュー作がライト文芸、そして同じ時期にみらい文庫大賞優秀賞をもらって二作目が児童文庫と、最初から一般向けと子ども向けの両方の縁があったのがそもそもの経緯。
公募しまくっていた時期に、YAが大好きだったので、YAを出している版元だけでなく「中高生の話を書かせてもらえそうなところ」を狙って応募しまくっていたんですね。中高生主人公でいけそうなら、ラノベでも児童文庫でもとりあえず出してました(実際ラノベもよく読んでましたし)。なんていうのを今考えると、この時期からYAは好きでも、「ジャンル」というものに対するこだわりがあまりなかったのかも。
なので児童書界隈に来て驚いたのが、最初から「児童書作家になる」と目標に決めている人が多いこと。申し訳ないことに、私は流れで児童書界隈に来ました。YAは好きだったけど、それを出しているのが児童書の編集部だという認識も正直あんまりなく、ほかのジャンルの編集部との違いも意識していなかったという。
そしてデビュー後に話を戻すと、なんやかんやあって3年目に『ぼくのまつり縫い』『恋とポテトと夏休み』を刊行(念願のYA)。ここで児童文学系の版元とも縁ができ、課題図書に選んでもらえたり賞をもらえたりしたのもあって、児童文学系の仕事ももらえるようになって現状に至ります。
ほかにもスターツ出版さんからお声がけいただいてケータイ小説も出したし、大人が主人公の話も書くようになったし、最近ではどんでん返し系のショートショートもたくさん書いています。
■主戦場は?
これたまに訊かれるんですよ。色々書いてるけど、「本当に書きたいのはなんですか?」みたいなの。
全部書きたいから書いてます。
過去に、書きたいものを書けなくてというか、他人に方向性をねじ曲げられてしまったことがありまして。そのとき相当病んだので、意にそぐわないものは書かないというのを今は大事にしています。書きたくないもの、自分が面白いと思えないもの、興味が湧かないものは基本的にやらない。
なので今やっているものは基本的に好きで書いてます。
■7年で好奇心の幅を広げた
自分、もともとニッチでマニアックなネタとかモチーフ好きなんですね。それもあってデビュー前後の数年、好きな題材で出しても企画が本当に通らなくて通らなくて。でも、生き残るには企画が通らないといけない。
そんなわけで、興味の幅を広げる努力を結構したのですよね。
従来守備範囲外のネタでも、興味をひく部分があればメモを取る、企画としていけそうなら勉強して自分のものにする。それをくり返していくうちに、よほど苦手なものでなければ、「勉強すれば興味を持てそう」という意識を持てるように。
こういう意識になったおかげで、お題や要望ありきのお仕事への対応はかなり柔軟にできるようになった気がします。
で、一方で、なんですが。
「なんでも書けます」より「これが書けます」という人の方が、作家として重宝されるというケースも往々にしてあるわけです(そんなようなことが『日本児童文学』にも書いてあって刺さった)。
バランスって難しいです。趣味に走りすぎると商業でやれないので幅を広げた結果、「で、本命は?」と訊かれるここ最近。自分が本当に書きたいものって?と考えてみるも、前述のとおり書きたくないものは書いてない。一方で、既に50冊以上出してるのでそこそこやりたいこともやってきた自覚はあり、ネタにも限りはある(なのでネタを増やしながら生きている)。
なんだろう、得意なことがより可視化されるといいんですかね。
とりあえず、かわいいもの好き男子とメガネ男子が好物なので、そういうキャラが出てくる話はもっともっと書けます。
■町中華もファストフードもコース料理も食べたい
色んなお仕事ができたらいいなーと常々思っています。どこかのジャンルに絞りたくないなと。一つのことをずっとやってると、脳みそ疲れるし絞りかすになってしまう。逆に、色々やってきたからこそアイディアが出る面もあります。一つのジャンルや版元だとどうしても通せない企画というのはあって、そういったときに場が多いのはありがたく、別の場に行ったらできた、という経験もたくさんしています。
ジャンル関係なく色んなものを書いて、そして可能ならジャンル違いのものを交互に書きたい(実際そんなにうまく企画は通らずスケジュールも組めない)。
あと、色んな味を知っているというのは、知見も広がるし、存外に悪くないのです。
編集さんはとても物知りだけど、やはり自ジャンルに特化しています。ラノベと児童文庫の編集部は似てるところが多いけど、児童文学の編集部はまったく違うし、ソフトカバー児童書の編集部もまた雰囲気や考え方が違います。色んなジャンルの色んな版元の編集さんから話を聞くと、本当に勉強になるし俯瞰して見えることが多い。
昔から器用貧乏な傾向が強く、今もそれは否定できないのですが。器用なだけでなく、色んな武器が揃ってますと言えるようになりたい。
■まとめ
だらだら書いていたので、まとめるような内容もないのですけど。
楽しく色んなものが書けたらいいですね!
ここまで書いてきてなんですが、色々やってると言ったところで、所詮私がやってるのって児童書ジャンルいくつかとライト文芸だけなので。一般文芸とかラノベとかも書きたいとわりと本気で思ってます。強欲!
手軽に色んなものを書けるアンソロジーのお仕事は常に大歓迎です。
その他のご相談もウェルカム。よろしくお願いします!
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