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天外者=三浦春馬 その2
今日は家族がそれぞれ所用で出払っているので、引き続き「新・五代友厚伝」を読み進めているところです。
読んでいてハッとさせられることが多い本書。たとえば、同じ五代友厚の伝記であっても、参考文献として使用した本自体が信憑性の薄いものであったり、ベースにした史料が歴史書ではなく小説であったりと、情報としての信頼性に欠けるものを基に有名な著作が書かれている可能性があることに気づかされました。
例えば森鴎外の著書「堺事件」。事実に基づくとされていますが、本書で丹念に複数の史料を検討した結果、「無許可でフランス兵が上陸して狼藉を働いた」ので「土佐藩兵が住民を守るために発砲した」という森鴎外の著書中の記述が虚偽であると判断されています(ベースにした史料そのものが土佐藩側の言い訳史料であったためこうなった)。小説ですし史実と異なっていても問題はありません。しかし森鴎外は大作家ですから、出版当初は「堺事件」について、この本の記載が史実だと思ってしまった人も多かったのではないでしょうか。
そもそもこの時堺に入港していたフランス兵の乗った船は、フランス側の要人が陸路で堺に移動してくるのを出迎え、乗せて神戸に移動する予定だったのです。当時の新政府の外務省にあたる役所にはもちろん連絡が入っており、「無許可で上陸」したわけではないのは明らかですし、「狼藉」というのも、要人を出迎えるという大事なときに、考えにくい事態であるとこの本では判断しています。
この堺事件を収めるために、五代友厚は八面六臂の活躍をしますが、その中で語られる「武勇伝」が必要以上に五代友厚を大人物に仕立て上げようとした捏造である可能性についても触れています。
本書では同様の内容を含む複数の史料から、各々の信頼性を推測していて、100%正しいとは言い切れないものの、ある程度の信頼が置ける妥当な判断がされていると個人的に思っています。五代友厚伝であるにも関わらず、五代友厚を必要以上に持ち上げるわけではなく、淡々と実績について丹念に歴史的事実を検証しながら語る姿に好感を持って読んでいます。
その本書の中で、まだ読んでいる途中ですが印象に残っているフレーズを。
『五代友厚の真価は、怪しげな武勇譚にあるのではありません。与えられた職務を全力投球で果たすというその真摯な姿勢にあります。そして、私的利害を超えたところで、自己に与えられたと信ずる使命に向かって邁進するという生き方にあります。』
三浦春馬さんの姿勢や生き方そのものに重なるように思えて、3度目の月命日前日の今日、この本を読み進めている意義を感じています。
日々、三浦春馬さんの演じる五代友厚に対する期待が膨らみます。きっと、彼も五代友厚のさまざまな史料を読み、役作りをしたでしょうから。
令和の天外者、三浦春馬さんの雄姿をこの目に焼き付けられるよう、心に刻めるよう、予習を進めておきたいと思います。
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