お見舞いの花💐
同じクラスの男の子が入院していたので、小学生の弟はある日、一人でお見舞いに行くことにした。おこづかいの100円を握りしめ、病院へ向かう途中、まずお花屋さんへ立ち寄った。
「これで買えるお花、ください!」
弟は持っていた100円を渡すと、店員さんは適当な花を1本選んで渡してくれた。そして今度はその花を握りしめ、意気揚々と病院へ向かった。
病院へ到着し、友達のKくんが入院している病室へ入って行った弟。さっそく、買ったばかりのお花を「これ、お見舞い」と差し出した。
すると、受け取ったKくんは複雑な表情を浮かべ、とても言いづらそうにこう言った。
「ひでくん、あのね・・・これ、死んだ人にあげるお花だよ」
こともあろうに、弟があげた花というのは「白い菊」だったのだ!
知らなかったとはいえ、お見舞い花のタブーを病人本人から教えられたことを帰宅した弟から聞いた母は、ビックリするやら恥ずかしいやら申し訳ないやら…だったらしい。小学生なら知っててもおかしくないことだし、親としてきちんと教えておくべきだった。
花屋さんも、使用用途を聞かなかったのか?とも思うが、もらったKくんの心境を思うと、笑うに笑えないというか。。。きっと相当ショックを受けたに違いないのに、心優しいKくんは、自分を見舞おうとわざわざお花まで買って来てくれた友達の気持ちを考えて、マナーだけをそっと伝えたのだ。
kくんが何も言わずに受け取っていたなら、弟はそのマナーを知るまで、また同じ恥をかくことになったかもしれない。
それからしばらくして、入院していたKくんはすっかり快復して退院し、元気に学校へ通うようになってからも、それまでと変わらず、弟と仲の良い友達でいてくれたそうである。
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