短大生の頃、近所のファミリーマートでアルバイトをしていた。 レジを打つ合間などに、バイト仲間の男の子とよく他愛もないお喋りをした。 ある日、T君が突然こんなことを聞いてきた。 「小沢さん(旧姓)、『婚前交渉』ってどう思う?」 「そりゃあ、気が済むまでいっぱいした方がいいと思う!」 「えええっっ!小沢さんって、そういうキャラだったの!?」 「だって、相手を知るのに何回もするべきでしょ?大事なことじゃん!」 「け、けっこう積極的なタイプ?」 「積極的っていうか、二人でやるこ
秋になるとイチョウの葉が黄色く色づき、下に落ちた葉っぱ達は、まるで黄金のじゅうたんのよう。そして、メスの木の下を通ると必ず漂う、あの独特の香り・・・そう、言わずと知れた「銀杏」である。 銀杏には、ロクな思い出がない。味は好きなのに、その美味しさを味わえるまでの過程で、いつもとんでもない目に合うからだ。 初めて母から銀杏をもらった時、「封筒に入れて口を折って、レンジでチンすればすぐ出来るわよ!」とアドバイスを受け、その通りにやってみた。 すると突然、バチバチッ★☆と聞
秋も深まったある日、時折季節の野菜や果物を送ってくれる義母から、いつものように荷物が届いた。 その中に、生の栗🌰が入っていた。赤いネットに見事な大粒が十数個入っている。すぐに茹でて冷蔵庫にでも入れておけばよかったのだが、当時はまだ会社員として毎日遅くまで働いていたため、忙しさにかまけて、あろうことか冷蔵庫横にあるスチールカゴの中に、そのまま2週間ぐらい放置しておいた。まさか、あんな事件が起こるとは思いもせずに。 生栗の存在をすっかり忘れかけていたある夜のこと・・・
今日は8月31日。 今はどうかわからないが、私達が子どもの頃は、怠惰な夏休みを過ごしたツケに焦った子ども達が親に泣きつきながら、家族総出の駆け込みで宿題を片付ける、決戦日である。 毎年夏休みになると、妹と私は、東京の祖父母の家へ遊びに行った。 小さい頃は母が一緒に付き添っていたが、小学生ともなると、母に新大阪駅まで見送ってもらい、新幹線に乗って私達だけで行くようになった。 祖父母の家で過ごしていたある日のこと、祖母が買い物に出かけた隙に、私達2人はここぞとばかり
その日はバレエのレッスンへ向かうために、五反田駅に来た山手線に乗って、出入口のすぐ脇の角に立っていた。 発車メロディが鳴り始めたその時、お父さんと4〜5歳ぐらいの女の子が乗ろうとやって来た。 お父さんが後ろに立って、先に女の子を乗せようとした。長ぐつを履いていた女の子が乗ろうと足を出したが、歩幅が狭く、ホームと車両のすき間に長ぐつをかけるようにして乗ってしまった。その瞬間・・・ 女の子が、スッと消えた‼️ 正確に言えば、すき間に足が入り、体が吸い込まれ、お父さんが
あまりにルックスの良い人というのは、もはや、その存在だけで人の役に立っている!と実感する出来事があった。 ある日、友人のSちゃんと駅で待ち合わせをした。 徒歩5分と書かれた場所に2時間も掛かってたどり着いた経験があるほど方向音痴な私は、迷うことを前提に、いつも時間よりだいぶ早く着くようにしていたのだが、案の定その日も待ち合わせ場所がわからず、Sちゃんを見つけるため、かなりの時間ウロウロ練り歩いていた。もちろん、この時代に携帯やスマホなんて無かったので、運とカンと根性で
とある駅の階段を上っている時のこと、目の前を上っていくおばさんのボリュームたっぷりのお尻に「S」と表示された直径1.5cmほどの丸いシールが貼り付いていた。うわー!S!Sだって!! 衝撃的なギャップに笑いをこらえながら、階段を上りきるまでガン見していたら、S尻おばさんはシールをくっつけたままどこかへ行ってしまった。 ああいう場合、親切に言ってあげるべきだったかな…「Sじゃないでしょ!」って。プププー そんな事があってしばらく経った、ある日のこと。 その日はかなり慌
うちのダンナは、何を隠そう、賞味期限にうるさい。 一緒にスーパーへ買い物に行って商品を適当に取ろうものなら、横からしゃしゃり出て来て「こっちの方が、日にち後だろ!」と新しいモノと差し替えられるし、食卓に出す際、賞味期限が印刷されているものは必ずチェックするという徹底ぶり。そのため、この当時は、1日でも賞味期限が過ぎていると絶対に口にしない!という、かたくなな姿勢を貫いていた。 ご存知の通り、「消費期限」と違って「賞味期限」は、指定された保存方法通りであれば、期限が過ぎて
雨の日の必需品である傘…扱いようによっては、凶器になりかねない。 まずは、傘の持ち方が危ない人。 よく見かけるのは、曲がった逆J字の下の方、柄のまっすぐな部分を握った状態で手を振りながら歩き、振り子のように振った傘のとがった先が、後ろにいる人へ突き刺さりそうになっている状態。 ひどい場合は、傘を横向きで鞄の持ち手と一緒に握り、そのままブンブン振りながら歩いている人までいる。 その危なさを自覚していただきたく、体を張ってあえて何度か傘の先にぶつかってみたのだが、「ん
警察官の使命感というのは、本当にスゴイ!と舌を巻いたことがある。 元々一般の人より肉体的条件や反射神経に恵まれ、メンタルも強い方が、ドラマ「教場」のように、さらに日々の訓練を重ねて耐え抜いたメンバーで成り立っている職業だと推測するが、あの瞬間を見たら「とはいえ、スゴイ!」と言わざるをえない事件を目撃した。 とある冬、毎年恒例で仲間と集ってスキーに行った帰り、車で信号待ちをしていると、向こうの横断歩道を巡回のおまわりさんが自転車でゆっくり渡っていた。その瞬間・・・ キ
同じクラスの男の子が入院していたので、小学生の弟はある日、一人でお見舞いに行くことにした。おこづかいの100円を握りしめ、病院へ向かう途中、まずお花屋さんへ立ち寄った。 「これで買えるお花、ください!」 弟は持っていた100円を渡すと、店員さんは適当な花を1本選んで渡してくれた。そして今度はその花を握りしめ、意気揚々と病院へ向かった。 病院へ到着し、友達のKくんが入院している病室へ入って行った弟。さっそく、買ったばかりのお花を「これ、お見舞い」と差し出した。 する
私の弟の名前は、ひでゆき。 そして、彼が小・中学生の時のアダ名は「ヒデブ」。 そう、北斗の拳で有名な、悪者が死ぬ瞬間の叫び声である。 しかし彼は当時、北斗の拳の大ファンだったため、ヒデブと呼ばれても嬉々として返事をしていた上、それを自慢にすらしていた。 もしクラスに阿部くんがいたら、間違いなく「アベシ」だったな。 (アベシも断末魔の叫びの別バージョン) そんな弟が、高校の時に乗って通っていた電車でのエピソード。 毎朝、途中の同じ駅から乗ってくる若い男性がいた。彼はど