こころの処方箋
河合隼雄さんの『こころの処方箋』新潮社 発売日 1998/5/28 を読みました。
河合隼雄さんは、心理療法士といって、悩んでいる人の心に寄り添ってその人の人生を立ち直らせていくのがお仕事。
私から見るとそれは溺れている人に手を差し伸べるようなもので、とても大変な仕事だよなあと感じます。
でも、それだからなおさらなのか、ゆったりと構えていて呑気だとさえ感じる言葉がたくさん語られていて面白いです。
「マジメも休み休み言え」
と言って、マジメすぎる人は人を窮屈にさせるが、自分の正しさを信じているから反省もしない。
鈍感で傲慢だという。
たしかに、「私はマジメに生きているのに〜」「今は苦しいけれどマジメに生きていれば〜」
みたいなことは、私自身も、そう思ってしまうことがあります。
でもそこには他者と比較して卑屈になっていたり、自分を正当化するような感じがあって、
自らを俯瞰してみてみて反省するという要素はたしかにあまりなかったかもしれないです。
あと、面白かった意見として、ともかく健康にこだわっていて、周りの人にもあれこれ口出しをし、
「ほとんど病気」の状態であることに自分が無自覚で迷惑をかけているというご意見。
これはもう、こういう方いるなあ、私も気をつけないとと、笑ってしまいました。
人は生きているとコミュニケーションに於いては目上の場合と目下の場合があり、子から親になり、部下から上司になり、と、
いろいろな立場になります。それぞれがそれぞれの時期にいろいろなことに迷い、考え、対処していくと思うのですが、その両方の立場や両方から同じくらいの距離を取った位置からの意見が出せると楽になることもありそう。
この本を読んで、そういったことに対するヒントが得られそうな気がしました。