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卒業と感謝と思いやり

2022.3.25 Fri

その昔、ある村にとても美しい少女がいました。
三人の騎士がその少女にプロポーズをし、騎士たちはそれぞれ、家宝である王冠、剣、黄金を少女に贈りました。少女は三人のうち誰と結婚するのか悩みます。そして、一人を選ぶことができない少女は、花の女神フローラに自分を花に変えてくれるように頼みます。女神フローラは願いを聞き入れ、少女をチューリップの姿に変えました。チューリップの姿は、花が王冠を、葉が剣を、そして球根が黄金を表すといいます。
(チューリップの花言葉 https://hananokotoba.com/tulip/#i-14)

オランダのチューリップ物語である。

チューリップには様々な色があるが、全般の花言葉は「思いやり」である。

そんな思いやりを表すエピソードとして、上記の物語は面白いなと思う。


大学を卒業し、一週後には社会人になっている。

これからが本当の社会。社会の仲間入りをする。

楽しみも不安もある。

学生気分ではいられない。

与えられる側から与える側へ変化すること。

自分は何を与えることができるだろうか。

自分がしてきてもらったことを、与えられてきたことをこれからは自分が同じように誰かに与えること。

でも、変化だけでもいけないような気がする。

変わっていい部分、変わらないといけない部分はもちろんたくさんあるだろうけど、変わらない部分、変わってはいけない部分もきっとあるはずだ。

どこまで自分を変化させるのか、変えてはいけない部分はどこなのか。

そんなバランスも取りながら日々過ごして生きたいなと思う。


そして、親をはじめ、支えてくれた人たちへの感謝は忘れずに生きていく。

大学まで自分のことを育ててくれた両親。

とても裕福だったわけではないけれど、自分がしたいと言ったことには惜しみなく協力してくれたし、お金も出してくれた。

自分のわがままもたくさん聞いてくれたし、それを受け入れてくれていたことには本当に感謝してもしきれないことだ。

自分が親だったらここまでのことを子にしてあげれるだろうか。

いや、自分がそうしてもらったのだから、自分も次はそうしてあげる義務があるような気がしている。


今日家を出る時、いつもは何も言わない父親が笑顔で見送ってくれた。

あの父親の満面の笑みは、初めて見たかもしれない。

父親にしてみたって初めての親なわけで、自分が初めての大学卒業生。

きっといろんな思いがあったんだと思う。

気がつけば父親の背丈を越していた。

そんな父の笑顔に、なんとも言えない感慨深い気持ちになった。

「今までありがとうございました」

口に出して言うことは恥ずかしくて出来なかったけれど、心の中ではそう思っているし、これから先もずっと感謝している。

そんな両親に恩返しが出来るように、これからは自分が責任ある立場になって、頑張っていきたいと思うことができた。

父からの思いやりを、次は自分が大切な人に与えることが自分の役割のようにも思えた。

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