対話の重要性~高校生と話した3ヶ月~
2021.11.26 Fri
今日を持って、約3ヶ月続いた高校一年生との毎週の定期的な会話が終了した。
そもそも何のことかと言うと、始まりは自分がコーチとして関わっているスクールの生徒が高校生になり、そこで勉強を教えて欲しいというのが当初 の依頼だった。
その初回で話をした時、彼はスイッチさえ入ればできる人間に見えた。今はきっと生きる意味や勉強する理由を見つけられないからやる気が出ないのではないか。
そんな印象を受けた。
そこで毎週金曜日に1時間程度自分と会う時間を持つようになった。
自分としては、たった一時間しかないなかで、彼に勉強を教えるのはナンセンスだし、それなら塾の役割と同じで、自分がやらなくてもいいと感じた。
塾とは違う、週一回しか会わないという特殊な関係の中で、自分に何ができるのか、自分にしかできないことはなんだろう。そう思って始めたのが、対話の時間にするということだった。
毎回、彼には最初に、先週話した内容を説明することと先週話してから今日会うまでの一週間であったこと、印象に残っていることや新たな気付きを話してもらうことからスタートするルーティーンを行うようにした。
それを聞きながら、自分もその日に話すことやどんなふうな質問をして彼の中にあるものを引き出すのかを考え、その場で対話をしていくのだ。
だから自分にとってもレベルの高い作業であり、自分の頭をフル回転させながら話を聞いたり、彼の話す表情からさまざまな変化を読み取ることに神経を注いだ。
でもそれが一番良い進め方だと実感出来ていた。
彼は頭の中にはたくさんの記憶や思考がある。でも、それをアウトプットする量が少なく、アウトプットしようとしても上手く記憶や脳内データを引っ張ってこれない部分があると感じた。最近までそうだった自分のように。
どんな人間だって、記憶や思考の量はみんなほとんど同じだと思う。でも、それを話したり書いたりする言語化するというアウトプットをすんなり脳内メモリから引っ張ってこれるかどうかに個人差があるのだと思う。
思い出したいのに思い出せないとか、うまく言葉にして伝えることができないとか、脳内メモリから引っ張ることができないのは、脳内メモリの情報を外に取り出す作業が少ないからだと思う。
話すことが少ないとか、自分のことを書くことが少ないとか、結局アウトプットの量の差なんだと思う。
だからこそ、彼にはアウトプットを増やすこと、そして自分もその場すぐにアウトプットできるように日々の生活の中でのアウトプットを増やしたり、アウトプットできそうなことがあったらメモしたりインプットする意識を高めるなど、自分にとっても彼にとってもトレーニングになる空間になったと思う。
今日が一応約束として最後の日だったけど、毎週彼の表情や目の活力や生命力が少しずつ高まっていることを感じることができた。それだけでなく、ルーティーンの会話や話す内容が少しずつ増えてきて、先週からは自己分析した内容を話すようになるなど、確実に成長していることを実感することができた。
彼もすごく成長したと感じるけど、それ以上に自分も成長することが出来たと思う。
その場で話を聴いて、そこからさらにその中にある気づきや眠っているものを毎回引き出したい。自分が何かを教えるのではなく、彼の中にあるものを引き出し、それについて対話をする。
最後の方はそんなことを考えながら対話を進めるようになり、すごく楽しかったし、良い時間だったと思う。
間違いなく自分にとって最高の経験になったと思うし、改めて対話することの大切さを知ることができた3ヶ月だった。