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副業としての農業-兼業農家という生き方

私が住んでいる福島県では、農地を持っている方が結構多い。そして、農地を持っている方は、兼業農家という形で0.3~3ha(ヘクタール)程度の田んぼや畑を耕作している。この兼業農家、自分一人だけでやっている人は少ないが、例えば在宅にいる祖父や祖母が日中の手入れや管理をして、経営判断や人手のやりくりなどを任されている働き盛りの40~50代の方も少なくないだろう。

この兼業農家の儲けを考えてみる。例えば、水稲3ha(ヘクタール)であれば、福島県の1ha当たりの売り上げはおおよそ1,200,000円ほど。となると3,600,000円ほどの売り上げが発生する。支出をみてみると、発生する経費(地代や労働費も含めて)は1ha当たり720,000円程度(2018年産米の国内平均から抜粋)。3haとなると2,160,000円となるので、大まかな利益は144万円となります。

そこで得た利益をどうするか。もちろん生活費として計算するのもいいでしょうし、何か趣味などに使うのも良いと思います。また、新しい農機具を購入して作業効率を高めていくのも一つの手ですよね。ここで考えなくてはいけないのが、”作業効率を高める”という点です。ここに着目してみましょう。

作業効率を高めることで何が生まれるか。そう、あなたの可処分時間が増えるのです。時間は”命の時間”とも言いますね。また、タイムイズマネーという言葉もあるくらい、命とお金と同じくらい大切にしなければいけないモノです。作業効率を高めることで何をするのか、時間を投資に回すのか、趣味に費やすのか、ただただボーっと過ごすのか、それは経営判断をさせる皆さん次第にはなりますが、理由もなく作業効率を高めようとするのはお勧めしません。できることならば、その浮いた時間を有意義に使って欲しいと思います。

さて、せっかく増えた時間をボーッとして浪費してしまうのは、日本人としてありがちな気質かと思います。貯金の部分でも似たようなことが起こっていて、日本人は日本円で貯金している人がかなり多いと思います。それは、「ドルや株式など他の資産に変えると目減りしてしまうかもしれない」「日本円で貯金しておけば減ることはない、なくなることはない」と思っている方が多くいらっしゃいます。しかしそれは非常に視野が狭い考え方で、日本円の価値が変動していることに気がついていないのです。例えば、20年前と比較して、物価は上がっていませんか?駄菓子は高くなっていませんか?(商品が小さくなっていませんか?)最低限の生活をするための費用は増えていませんか?基本的には上がっているはずです。しかし、皆さんの年収や収入はその分上がっていますか?

平成9年の一般的なサラリーマンの平均年収は467万円

平成30年の一般的なサラリーマンの平均年収は440万円 

※国税庁より

全年齢による平均なので大雑把な捉え方ですが、約20年前と比較して年収は下がっているんですよ。それで物価は上がっている。

ちなみに国際的にみて、他の国の年収の上がり方はどうなっているでしょうか?全労連さんがまとめている資料に国際的な日本の位置付けが乗っております。

国際的にみると、年収が下がっているのは日本だけですね。ということは国外で製作している物の値段が相対的に高くなってくる、というロジックが通用しますよね。

日本はすでに輸入製品なしでは生きていけない社会になりました。例えば、家電製品やスマホ。輸入品がかなり多いです。私もよく使っていますが、apple製品も相対的に高くなってしまっている。これに気がつかない人が多いのが日本です。いつまでもMade in JAPANが世界一だと思っている人が多い。と感じています。あっ、兼業農家の話からだいぶ話が逸れてしまいました。

さて、お金の話になってしまいましたが、得られたお金をそのまま何もせずに貯金する、というのは、得られた時間をボーッと過ごす、ということに近い感覚だと思います。つまり、得られたモノの価値を正確に認識できていない、という点において共通しています。

兼業農家をされている方は、可処分所得(お金)のことだけでなく、可処分時間についても考えながら、生活するととてつもない豊かな暮らしができている、ということに気がつくと思います。ただし、今回のコロナ禍によって農業分野にも大きな荒波がきています。みんな気がついているけれど動けない方がほとんどです。せめてみんなで手を取り合って、生き抜いていくことができれば、と思います。

現代社会では、集約して経営面積を拡大していくことばかりがフィーチャーされていますが、日本の農業を支えている兼業農家さんのことも応援していきましょう。では、また。


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