失敗していい、なんて嘘

失敗しても気にしなくていい、失敗なんかしたところで忘れちゃうから、って言う人いるでしょう。

僕は基本的にそれに、納得できません。というか、同意できません。

失敗はしてはいけないことだし、失敗に対してヘラヘラできるなら、それは大した失敗じゃないんです。もし大した失敗をしてヘラヘラしてるなら、そんな人間を僕は信じられません。

早稲田の講義で、元日本サッカー協会の会長をしていた方が来ました。

その方は、Jリーグの試合を初めてネット中継した時のことをお話ししてくれました。

テレビが廃れる中、スポーツの中継をテレビに限定するのではなく、ネット中継を可能にしなければスポーツビジネスの未来はない。

それを思って、それまではテレビ中継だけだったJリーグをネット中継しようとした。

でも、いろんな人からそんなことはできないと反対された。前例がないし、もし回線が切れたりしたらどうするんだと。

それでも、スポーツビジネスのためにやらないといけない、と思って、必死にいろんな人に頭を下げて、消費者にも初めてのスポーツのネット中継ということで契約を結んでもらった。

そして遂に初めてJリーグをネット中継した日、社長室で、携帯とパソコンの2つを使って社長さんは見ていたそうです。

そうしたら、画面が全く動かない。回線が落ちて、90分間何も放送されず、試合が終わったそうです。

会社には批判や苦情のメールや電話が殺到しました。

そして社長さんは、責任を取って自死しようとしたそうです。

でも、周りの人に止められた。

曰く、ネット中継を実現することがあなたの責任であって、ここで死んではいけない、と。

そう言われて、惨憺たる、忸怩たる気持ちを抱えて、ネット中継の実現に取り組み、のちに実現したそうです。

アレキサンダーでさえ、酒に酔って親友を殺した時に二日間寝室から出られなかった。

いいですか、失敗というのは、してはいけません。

それでも人間は失敗します。でもそうしたら、それに対してヘラヘラするべきではない。

その失敗の咎を背負って、惨憺たる気持ちを抱えて次に進むんです。

失敗は苦しく、重い。それを正面から抱えて進もうとするからこそ、真に成長できるんです。

失敗はしてはいけないし、もししてしまったなら平身低頭して賜って、苦渋に塗れて尚先に進むんです。

失敗はどんどんしよう、とか、失敗なんて忘れていい、という言説に対しては、僕は賛同しません。

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