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『雲に立ち向かう船』

旅に出ると、まず最初に興奮するポイントとして飛行機の窓から見える景色がある。大体の場合、青と白のコントラストを見て「綺麗だな〜」という感想に終わる。だが先日の東北行きの飛行機の車窓から見える空の景色は、少し違った。

そこには、一台のタンカー船がいた。

空から見る船は、まさに雲という巨大な壁に立ち向かっている最中だった。「船がぶつかる!」

そんなわけないことは分かっている。だが、雲と海が一続きの平面になった時、船は雲に立ち向かう。この景色は、空にいる者の特権だ。

本当は、船にとって「雲」は遥か上空のものであり、当然立ち向かうなんぞは見当違いの表現なのである。
それでも飛行機の上から、高みの見物とでも言おうか、今日も船は雲に立ち向かう。

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