【読書記録】ザリガニの鳴くところ
「読書の秋」はまだまだ先になりそうですが、読書記録3回目。
読んだのは少し前ですが、最近書店で文庫版を見かけるようになったので、「あ~、素敵な本だったなああ」という感想を書きます。
本当に素敵な本です。あなたが手に取るきっかけになったらいいなあ。
「ザリガニの鳴くところ」という本です。
本作品のきちんとしたあらすじは、サイトや本の裏表紙を参照してもらうとして、、
私が考えるこの本の魅力は、①情景描写の美しさと、②ミステリーとしての充実度であると思っています。
①情景描写の美しさ
著者は、動物学者として多くの著書や論文を発表している科学者でもあります。そして、69歳で執筆した本書が初めての小説です。
とある湿地が舞台になりますが、神秘的にかつ少しの不穏さを持って描かれる情景描写は、自然に対しての確かな知識と経験が基盤となっていると感じさせます。
登場人物の描写も的確で重みがあるというか、70年分の人生経験が反映されているというか、、、。ドキドキしますが、同時に落ち着く文章です。
②ミステリーとしての充実度
この本のジャンルはあくまでも「ミステリー」であると思っています。
そして、私自身はこの本のミステリーとしての結論が好みです。
本書は事件の解決だけにページが割かれているわけではなく、もちろん繊細な情景描写や貧富の差といった社会問題にも触れられていますが、(そしてその点がこの物語をより魅力的にしているわけですが、)
ミステリーとして充実した結論にたどり着けることで、読後の満足度がぐっと上がった印象です。
切なさとやりきれなさと、これでよかったのかなという思いと、、、、余韻でひたひたになります。
そして、70歳を目前に、新たに小説家としてのキャリアをスタートさせ、その本が世界中の人のもとに届いているというのはすごく素敵なことだなと思います。私もまだまだこれからたくさんのことに挑戦していきたい、、、!
p.s. 映画化もしているそうですが、映画で見るのは少し怖いかもしれない、、、。見た方いますか。