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アインシュタインが通ったプラハのカフェでの思い出

4/18はアインシュタインが亡くなって65年目だったそうだ

偉人の人生と自分の人生の一部が交わっているかどうか思いを巡らしたところ、そういえばチェコ・プラハでアインシュタインが行ったカフェに行ったことを思い出した。

ウィーン生活も終盤だったのでせっかくなら行ったことない周辺の国にも行こう、とベルギーの音楽祭から帰ってきてからすぐのバタバタで弾丸のプラハ一泊二日だった。

行き当たりばったりの一人旅で、Wi-Fiもなかなか繋がらない状況の中「アインシュタインが通ったカフェがある」と知り、換金しすぎたチェココルナを使い切るためにも最後に飛び込みで行ってみた。

さすが、有名なのか観光客で賑わっていた。
空いている席が大人数用のテーブルだけだったのでそこに通され、一人で座り、歩き疲れた私は「あと少しでやっとウィーンに帰れる」と座れることにほっとしながら、英語のメニューをもらって飲み物を選んでいた。

私のテーブルより少し小さい隣のテーブルにまた同じく観光客の若い10代の子たちが周辺のテーブルを繋ぎ合わせて座ろうとしていた。

オーダーが終わり、ぼーっとしながら飲み物を待っていた。疲れてはいたが、Wi-Fiが繋がらない私の邪魔をするものはない空間を愉しむ余裕はあった。

そしたら隣のテーブルの少女が近づいてきて、

「私たちのテーブルが狭くてみんな座れないの、もしよかったら替わってくれませんか?」と尋ねてきた。

「もちろんいいですよ」と、広すぎるテーブルから、2人がけのテーブルにオーダーしたものと移動した。

すると、隣の席の夫婦が話しかけてきた。

「席を替わってくれてありがとう。実はあの子たちは私たちの子供なんだ。」

聞くところによると、アメリカのインディアナ州からヨーロッパに家族旅行で来ていたそうだ。

ヨーロッパの言語なまりではないことからアメリカ人だとすぐわかった。自分が5月にNYに1人で旅行したこと、ウィーンに音楽留学していること、3日後には日本に完全帰国することを話した。

彼らはこの旅行でウィーンはもう訪れたとのこと。とても綺麗な街だと喜んでいた。このあとはハンガリーに旅行する、と言っていた。

たくさん話して、旅の中で一番賑やかな時間を過ごせた。

彼らが楽しい旅であること、私が無事にウィーンに戻れること、お互いの旅がいいものになるように言葉を掛けながらカフェから出た。

もちろん、科学に疎い私はアインシュタインを人並みの知識でしか知らない。 

ただ、こういう文化の中でここに通った偉人たちもこうやって話しかけられたり、話しかけたりしたのかもしれない、と勝手に想像しながら旅の醍醐味を味わった。

オープンな他人との距離感は西洋文化だからこそのもので、日本では隣の席のテーブルの旅行客と話し出すなんてなかなかないだろう。

こういう、誰にも話したことがない、取り留めもない思い出を自分の中に閉まっておくと、くすんでしまっていつか忘れてしまうかもしれない、それはあまりにも寂しすぎるからここに残すことにした。

ちなみに昨夏はシューマンにどハマりし、旅中ずっと聴きながらプラハの街を歩き回っていた。

私も去年知ったばかりのこの曲もっと知名度が上がって欲しいという希望も込めつつここに貼ろう。

この曲を聴くとプラハの景色と五感で感じたあの空気感と私の抱えていた感情を一気に思い出す。旅にふさわしい晴れた日だった。

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