自社への愛着を深める「社内コミュニティ」立ち上げの記録
「自分の会社で働いていて良かった」とメンバーが自社に愛着を感じ、ファンになってもらうためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか….?
こんにちは!web3スタートアップでインナーコミュニケーションを担当しているparuと申します。弊社は創業7年目を迎え、現在正社員数は100名を超えています。そのうち約半数が入社1年未満のメンバーで構成されており、組織は現在、成長・拡大のフェーズにある中で、さらなるエンゲージメントの強化が課題になってきました。
そこで今年の7月に立ち上げたのが、社内コミュニティの「GauCommu(ガウコミュ)」です。
あくまで組織エンゲージメント施策のひとつではありますが、社内コミュニティを運営されている企業はまだそんなに多くないかと思うので、Gaudiyでの取り組みをお伝えできればと思います。 まだまだ道半ば、というか道序盤wな取り組みですが、少しでも皆さんの気づきになれば幸いです!
社内コミュニティ「GauCommu(ガウコミュ)」立ち上げの背景
前提として、今回立ち上げた社内コミュニティは、自社プロダクトの「Gaudiy Fanlink」を活用しています。Fanlinkは、漫画・ゲームなどのエンタメIP企業がファンコミュニティを垂直立ち上げできるプラットフォームサービスで、そのコミュニティ内では、投稿やリアクションをしたり、ゲームで遊んだりなど、SNSのようにファン同士が交流することができます。
以前から「Gaudiyのコミュニティをつくりたい」という話自体はあったものの、事業上優先すべき事項が多く、なかなか実現できていませんでした。
しかし、今年に入ってから「Fanlinkの機能を先行検証する場としても自社コミュニティを活用したい」という話がプロダクト側からあり、プロジェクトが急遽立ち上がって、今回の社内コミュニティ開設に至りました。
そんなわけでプロダクト起点で立ち上げが進んだわけですが、インナーコミュニケーションを担当する立場として、社内コミュニティを通じた組織エンゲージメントの向上も目的のひとつに加え、以下2つを目的にスタートしました!
効果があった施策
「社内メンバー間の関係性の強化」を目的とした取り組みに焦点を当てて、特に効果があったこと3つをご紹介します。
1. 気軽で自由な会話が生まれる場づくりをする
メンバーが投稿しやすいように、期間限定の投稿テーマをハッシュタグとして企画作成し、週1程度の頻度で新テーマを追加していくという実験を短期間で行いました。ここでわかったことは、運営提案のハッシュタグに依存しすぎない方が良いということ。
投稿のきっかけとしてハッシュタグが利用されることはあるものの、メンバーは投稿ネタが先にあった上で、適切なテーマのハッシュタグをつける傾向があることが確認されました。
そのため、運営からのハッシュタグ提案の頻度を当初より減らし、シーズンごとに書きやすいネタがある場合に企画する方針に変更しました。
それでも、ハッシュタグは告知の強度によりますが適度に活用されており、特に汎用性の高い「#Gaudiyな日々」は頻繁に利用されています。また、メンバーに人気の投稿テーマとハッシュタグは以下の通りです。
コミュニティ立ち上げ当初、Dev代表のkatsumataさんがこんなことを言っていました。
つくりたい場としては、GauCommuだからこそ発信できる、自分の新たな一面を表すような思考のアウトプットはもちろん、気軽な内容の発信も可能な環境を目指しています!
どちらかに偏ることなく、ハードルを上げすぎず、メンバーが自分のタイミングで投稿したいネタを自由に共有できる場を、今後も維持していきたいです。
また、「せっかく投稿したのに反応がないと、もう投稿したくなくなる」といった気持ちをできるだけ避けたいと思い、個人アカウントからすべての投稿に「いいね!」をしたり、コメントを残したりといった地道な活動を行っています。
この取り組みは、「そのような感情を抱かせたくない」という思いで始めましたが、実際には自然とコメントしたくなるような投稿ばかりなので、無理なく続けられているのが本音です(笑)。
さらに、エンジニアのshoさんも私と同じくらい(いや、それ以上かもしれません)「いいね!」やコメントを積極的にしてくれていて、本当に頼りになる存在です✨
2. あえて〝内輪感〟のある限定のインセンティブを用意する
メンバーが「私たちのコミュニティだ」と感じて時間を使ってもらえるように、あえて内輪感を出した、GauCommu限定のインセンティブを用意しました。
一つ目のインセンティブは「グッズ」です。投稿やリアクションをするたびにcoinが付与されるため、coin交換品としてグッズを用意しています。
グッズの制作は、実用性を兼ね備えつつ、ワクワク感と遊び心を持たせるため、自社キャラクター「ガウディくん」を活用して制作しました。また、お渡しする際も、グッズにラッピング+メッセージカードをつけて、手元に届くまでの体験を演出しています。
二つ目は「メンバーの限定画像」です。
表面にはSlackのアイコンと名前、裏面にはまだ社内で公開していないプライベートな情報や写真を掲載しました。メンバー限定画像は、コミュニティの新機能の中で期間内にミッションを達成することで付与される仕組みです。
作成については、当初「メンバーの写真を使って限定画像を提供するコストが高いため、自社IP(ガウディくん)を活用する方が良いのでは?」という意見もありました。
しかし、メンバーの仲間意識を向上させるために、「社会的交換理論」という関係性の概念に注目し、仮説を立てました。
社会的交換とは、経済的な取引に限定されず、信頼や感謝、互恵的な関係性を基盤とした人間関係の構築を指します。
つまり、報酬が単なる物理的なものにとどまらず、感情的なつながりや人間関係に影響を与える場合、それが「社会的交換」の一環となります。
この視点に立つと、「メンバー自身が主体となる限定画像(写真やプライベートな情報を含む)が、メンバー間の相互理解や感謝の気持ちを醸成し、より深い仲間意識を生むきっかけになるのではないか」と考えました。
これまでに計10名分のメンバー限定画像を配布しています。アンケート結果では、ストア商品と同等にメンバー限定画像にメリットを感じているメンバーが多く、「知らない一面を見られるのが楽しい」といった反応も得られました。
さらに新たな発見として、メンバー限定画像の獲得者(全体の16%ほど)の中には、懇親会などの全社的なコミュニケーション機会への参加率が高くなく、GauCommuへの投稿が少ないメンバーが含まれていました….!!
そのメンバーに、メンバー限定画像を獲得できた理由を尋ねたところ、次のような回答がありました。
この結果から、内輪感のあるメンバー限定画像の企画がメンバーに刺さったことに加え、チームに閉じられず、全社的で自由な投稿の場を提供できたことで、新たな層のメンバーにアプローチできたことが非常に嬉しい成果でした!
3. メインストリーム「Slack」からの流入促進をする
Gaudiyはフルリモート・フルフレックス(月1回の出社推奨)の働き方を採用しており、メインのツールとしてSlackが使用されています。Slack内で、フランクな会話ができる「frankチャネル」や、社内部活動のチャネルが設置されています。
その中で、どのようにサブチャネルである「GauCommu」への流入を促進するかが課題でした。そこで、Slackの「all_frank」(フランクな話題)チャネルにて、週に1度GauCommuへ流入させるための投稿をしたところ、投稿を通じて流入が確認されているため継続しています!
本noteを読んでくださっている方の中には、「slackがメインコミュニティとなっていて、その他オンラインコミュニティは必要ない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、目的を差別化した上でメインストリームからの流入施策を実施することで、共存していけることをお伝えしたいです。
葛藤や気づき
スタートから3ヶ月が経ち、機能検証の案件がひと区切りついたタイミングでメンバー向けのアンケートを実施しました。意見としては、メンバー間の偶発的な繋がりができたり、メンバーのプライベートな一面を知ることでリアルで会う時の接点や繋がり作りに寄与していることがわかりました。
一方で、CEOからは以下のFBをもらいました。(一回ちゃんと落ち込んだし恥ずかしいけど載せますw)
この5ヶ月間の取り組み期間の中で、フェーズごとに目的を定めてやってきたつもりでしたが、いちユーザーとしての目線も含むCEOからは厳しい意見が…!このFBをもらった時に、正直色々な感情が出てきましたが、内省して最終的にひとつ気づいたことがあります。
それは、「どこか少し諦めていなかったか?」という自分自身への問いでした。
目的のひとつである「機能検証」については、何件か案件を整えて実施するうちに、以前よりも自社プロダクトに関する一定の知識がついたことや、依頼をちゃんと検証に回せる基盤ができたという自信が少しつきました。
一方で、組織エンゲージメントの観点では以下の現状がありました。
社内コミュニティは、メンバー間の関係性の強化の「手段」である
メンバー間の関係性における仮説課題のセンターピンの解像度が低い(低いにもかかわらず仮説課題のディスカバリーに動いてなかった)
メンバーの関係性構築においては、PdMや各オーナーが存在して、チームビルディングを各自実施している
そのため、「GauCommuにおいて全社的なメンバー間の関係性づくりの取り組みは必要ないのでは?機能検証がちゃんと出来ていれば、良いのではないか?」と少し弱気になっていたんだと思います。
ですが、この弱気になっていた原因は、自らの社内コミュニティの志(どのようなコミュニティにしたいか?)を深く思考できていなかったこと原因ということに気づきました。
書籍「People Powered」の中にもある通り、コミュニティにおけるミッションをつくり、メンバーにみてもらいコメントをもらって改善していくことは重要です。一番重要なことなのにも関わらず、後回しにしていたことに、反省しました。
インナーコミュニケーション担当が社内コミュニティを組織で運営する上では、社内リソースをかけられないケースが多いと思います。
だからこそ、志を決めて、それを自分自身の原動力としたり、そのミッションをもとにメンバーの意見を聞いて改善していくことで芯のあるコミュニティを築くことができるかもしれません。
今後の課題
今後の課題としては、投稿しにくさを感じているメンバーがより気軽に投稿できる環境づくりです。
GauCommuにおけるメインの活動が「投稿」になるのですが、利用アンケートでは約半数のメンバーが「投稿をする心理的ハードルがある(4または5)」と答えています。主な理由は「投稿ネタがない(52.5%)」「忙しい人を横目に投稿しにくい(20%)」でした。
そのため今後は、投稿ネタのハードルを下げたり、幅を提案すること。そして、社内コミュニティに参加することでどのように組織が良くなるのか?というところを仮説検証結果を通じて、社内にも伝達していきたいと思っています。
GauCommuの志
Gaudiyで働くことは、正直なところ、厳しく辛い局面も多く、シビアな状況に直面することがあります。そんな中でも、私たちは皆でひとつの目的に向かって日々葛藤しながらも邁進しています。
そのような環境だからこそ、メンバーが辛い局面でも心を開いて安心でき、時にはGauCommuでのつながりを通じて頼り頼られる「愛」のあるコミュニティを作りたいと考えています。
せっかく一度きりの人生の中でGaudiyで働くことを選んだのだから、その体験をポジティブで愛にあふれるものにしていきたいと強く思います。メンバー同士の関係性を含めた体験を向上させ、余計なことに悩むことなく、ポジティブに物事に向き合える環境を一緒に作り上げたいです。
来年1月以降は、「新メンバー×既存メンバーの関係構築」をMVP(Minimum Viable Product)として設定し、GauCommuと連動させながら仮説検証を行っていく予定です!結果がある程度でたら、またnoteを書こうと思います(とここで宣言することにより自分に課すスタイル)
ここまでお読みいただき、ありがとうございました🙇
インナーコミュニケーションや、社内コミュニティづくりといったテーマを中心に興味がある方はお気軽に、PittaまたはXにてご連絡ください!
Gaudiyの2024年アドカレ、明日24日目はfukamiさんが担当です⛄️
ゴリゴリに事業を動かしていってくれているうえ、筋トレもゴリゴリやられていて個人的にゴリ押しです!ぜひお楽しみに〜!