保育とOODAループは相性がいい〜PDCAにとらわれない考え方
1.子どもの声を聞く保育と計画の関係性
僕は子どもの声を聞いて保育や遊びを考える、つまり子ども主体の保育をしたいと思っています。
最近、少しずつできるようになってきているように感じていて、
「型にはまらない保育で楽しそう」と言われることもあり、嬉しくなりました。
ただ、指導計画は月案、週案を作成しています。週案を作成するのは、その前の火曜日から木曜日の時間のあるときに作成しているので、子どもたちの遊びを反映した指導計画にはなかなかならないのが現状です。
そうなると、「行き当たりばったりの保育なのでは?」と不安になることも多くあります。
かといって、指導計画を綿密に立てたり、指導計画に子ども姿を反映させようと思うと、時間が足りなく、保育や遊びの環境や準備に割く時間がなくなり、子供達の声への反応速度が遅くなったり、逆に子どもたちの活動を最初に建てた計画の方向に持っていきそうになったり・・・フラストレーションやもやもやを感じていました。
皆さんはこんなことはありませんか?
2.考え方を変えてみる〜PDCAサイクルではなく、OODAループへ
僕はここでこんな考え方にしてみました。
保育を考えるときにPDCAサイクルを意識しましょうと言われることが多いのですが、PDCAサイクルではなくて、OODAループというフレームワークを取り入れるようにしています。
では、このOODAループとはどういうことなのかという話をしていきたいと思います。
3.OODAループとは
ここのサイトの説明がわかりやすかったので、紹介します。
以下、サイトより引用
OODAループとは、刻一刻と変化する状況で成果を得るために、現在、ビジネスシーンの多くで使われているフレームワークです。OODAループは、「Observe(観察)」、「Orient(状況判断、方向づけ)」、「Decide(意思決定)」、「Act(行動)」4つのステップを繰り返す手法です。
Observe(観察)
現状を客観的に観察する。結論ありきのデータ収集にしない。
Orient(方向づけ)
現状から良い結果に繋げられないか考えてみる。
Decide(決定)
現状が変化しないうちに打てる手段を考え決定する。
Act(行動)
現状が変わらないうちに実行。行動の結果という状況の変化 をObserveする。
4.OODAループを保育に当てはめてみると・・・
保育、「子どもの最善の利益」を考えた関わりは答えのない問いだということは前回の記事にも書きました。
しかも、子どもとの関わりは状況がどんどん変わっていくことが多く、タイミングが遅くなると、あまり意味のない関わりになることも多いと思います。
これはOODAループの前提条件と似た状況だと思います。
次にOODAループの各要素を保育にあてはめてみると、
Observe
子どもの姿の観察、発育発達や家庭状況の把握、先入観をなくして観察すること
Oriento
いくつかの関わりや遊び、環境の設定のの選択肢を思い浮かべる。また、その活動のねらいや経験してほしいことなどを考える。
Decide
ねらいや経験してほしいことから、選択肢を絞り、直接的、間接的関わり方を決める
Act
決めて直接的、間接的関わりを実行する。それに対する子どもの姿を Observeして、次のループを回す。
つまり、OODAループと難しくいっているけど、多分どの保育者も行っていることを言語化して、フレームワーク化したものだと思います。
あとはこれを意識的に行うかどうかが大切です。
5.PDCAサイクルとの関係性
じゃあ、PDCAサイクルはいらないのかというと、
OODAループのデメリットを補うために使うと良いのではないかと思います。
OODAループのデメリット
その場の思いつきや感情で行動する個人の増長
中長期的な計画立案などのPDCAが有効な場面でのOODA採用
基本的に結果のデータが残らず共有もされないため暗黙知が発生する
その場の思いつきを防ぐ→Orientで選択肢をたくさん出し、よりベターなDecideをするために、PDCAサイクルを使用すると良いのは個人的に思っています。具体的には、OrientとDecideで事前に考えたPDCAのPlan(指導計画)を基に考える、つまり、「ねらいは何?」「経験してほしいことは?」「どういった方向性の活動や遊びにしたいのか?」などに立ち戻ってDecide(決定)すると有効的だと思います。
6.OODAループを保育に活かすにあたり、大事なことは3つ
このような特徴を持つOODAループを保育に活かしていくにあたり、実際に僕がOODAループを使用して保育を考えるときに意識していることが、大きく3つあります。
OODAループを繰り返す
何度やり直しても良いというマインドをもつ
PDCAのP(指導計画)に時間をかけない
OODAループはループと名前につくので、どんどんループを回していく必要があります。また、綿密に計画を練って実行するわけではないので、「やってみて違った」ということも起こり得ます。その時は、自分の関わりや子どもの状況などを振り返り「次はこっちにしてみよう」と再ループを作っていくことが意識しています。
この振り返りやDecideの判断を早めるために、指導計画を使用していきます。そのため、指導計画を全体の方向性を決めるものとして、そこに時間をかけないことを心がけるようにしています。いままで指導計画に時間をかけてきた習慣がある&どうやら日本人はPlanに時間をかける習性があるということなので、Pに時間をかけないことは意識しないとできないと思っています。
子どもの声を聞いて保育を進めたいと思っている方には、
ぜひ、このOODAループの考え方を試してもらいたいなと思っています。
まずは子ども観察から始めましょう!