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保育者に必要なのは、子どもの最善の利益を考えた関わり
「子どもが中心の「共主体」の保育へ」を読んでみた〜その3
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「日本の保育をアップデート!」というキーワードがすごく気に入っています。日本の保育はいいところも多いけど、ちょっと違和感を覚えることよくあります。そこをアップデートしていきたいと思っています。
前回の記事はこちら
前回の記事では、大人にも子ども、また子ども同士にもにも主体性があり、保育では、そのバランスをとっていくことが必要であること、子ども同士の主体性のバランスは、保育士の「仲立ち」という関わりが必要になってくるいうことを伝えました。
では、今回の記事は、大人と子どもの主体性のバランスの取り方について考えてみたいと思います。
1.保育者と子どもの主体性には大きさの違いがある。
主体性のバランスの話をするにあたり、前提になるのは、
大人の主体性は、子どもの主体性より大きくなるということ。
それは、大人には知識も力もあるので、主体性のボリュームは必然的に大きくなります。
特に保育者は、園の中ではその傾向が大きくることを肝に銘じておかないといけないと思います。
大きさの違いがあるものをそのまま天秤にかけると、
大きものの方に傾き、バランスが取れていない状態になります。(これはこれである意味バランスは取れているのかもしれませんが・・・)
保育でいうと、「大人の主体性の発揮に傾いた」保育、つまり統率や古い教育がこれにあたると思います。
かといって、保育者の主体性を放棄して、子どもの主体性に重きを置きすぎると、放任につながる可能性があります。
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保育者と子どもの主体性のバランスをとらないと、適切な保育にならない可能性が高いことがわかりますね。
ではバランスを取るってどういうことなんでしょう。
2.保育者が主体性のバランスを取るには、メタ認知が必要
保育者と子どもの主体性のバランスを取るには、保育者がメタ認知をはたらせてバランスを取る必要があります。
ん、メタ認知ってなんだ?って感じですよね。
メタ認知の意味をChatGPTに聞くと
「メタ認知は、自分自身の思考や学習についての理解や意識を指します。言い換えれば、「自分が何を知り、どのように学んでいるかを知る能力」です。例えば、問題に取り組む際に自分の戦略を見直したり、理解度を確認したりすることが含まれます。簡単に言えば、思考のプロセスを見つめ、理解することがメタ認知です。」
僕がメタ認知と聞くといつもイメージするのは、「リトルホンダ」という言葉。
2014年にサッカーの本田圭佑選手がACミランに移籍した際に使っていた言葉で、外側からの自分、客観の自分ってやつです。
そのメタ認知を働かせて、バランスをとっていきます。
具体的には、子どもの発達段階や個人差などの状況に応じて、「子どもの最善の利益」を考えるということです。
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つまり、その子にとってベストな関わりをするということ。決して画一的な関わりではなくて。日本では平等と言ってみんなに画一的な関わりをしようとする風潮があるように思います。そうではなくて、その子にあったベストな関わりが必要ということです。
3.「子どもの最善の利益」を考える時に気をつけること
画一的ではなく、その子にあったベストな関わりをする時に気をつけることがあります。
それは、
その子にとってのベストは、「今のベスト」と「この先を考えたのベスト」が違うことがある
ということです。
例えば、友達のおもちゃを黙って取ったA君への関わりを考えてみます。
A君の「この玩具を使いたい」を叶えるなら、同じおもちゃを出してみる(今のベスト)
友達へのやり取りや関わり方を学ぶ段階にあるのなら「貸してと言ってみる?」(この先を考えたベスト)
他にもいろいろな関わりかたの選択肢を思い浮かべて、どれがA君にベストな関わりか考えて関わるということ。
保育者は普段から無意識にこのように考え関わっていると思いますが、そこを意識化することが大切なのではと思います。そして自分の関わりが「今のベスト」を重視する傾向があるのか、「この先を考えたベスト」に重きを置くことが多いのかなど、自分の傾向を知ることで、よりよい関わりができるのではないかと思います。