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どうして乳幼児期に性教育をおこなうのか?〜キーワードはウェルビーング

保育園でも、着替えを男女に分けたり、プライベートパーツを教えたりすることが増えてきたと感じています。
こういうことは「性教育」と言われています。
では、どうして幼児期に性教育をするのでしょうか?
今回は幼児期に性教育を行う目的について考えてみたいと思います。


1.以前の僕の考え方

以前まで、僕は性犯罪などの増加や性への考えの多様化などの世の中の流れがあるからと、こどもの権利意識が強くなったからという感じで考えていました。
そのため、市全体での取り組みなどで、
「◯◯してください」
と通達があれば、「そういう流れだからな〜」と深く考えず、
運用の仕方などに目がいっていました。
手段が目的になっていたと思います。

先日、研修を受けた時に
「幼児期に性教育を行うのはなぜでしょう?」
という問いがあり、そこで考えるきっかけをもらいました。

2.そもそも「性教育」って?

僕たちが学校で受けてきた性教育と言われるものは

  • 「体の違い」などの二次性徴に関すること

  • 生死や卵子などの「生殖」に関すること

これがほとんどだったと記憶しています。

この僕たちが受けてきた性教育と保育のつながりはあるの?
と感じますよね。

実は僕たちが受けてきた性教育は、性教育の一部だということです。
性教育という言葉よりも、
「包括的セクシャリティ教育」
という言葉が当てはまるそうです。

3.包括的セクシャリティ教育とは・・・

この包括的セクシャリティ教育とは、どんなものでしょうか?
調べてみると、

●セクシュアリティの認知的、感情的、身体的、社会的側面について、カリキュラムをベースにした教育と学習のプロセス
●以下の観点を重視した教育のこと
・人権をベースとした教育
・互いを尊重し、よりよい人間関係を築くことを目指す教育
・健康とウェルビーイング、尊厳を実現し、子どもや若者たちにエンパワーメントしうる知識、スキル、態度、価値観を身につけさせる教育



『包括的性教育の推進に関する提言書』日本財団 性と妊娠にまつわる有識者会議

このように出てきました。
なんだか急に保育に近い世界観になりましたね(笑)

UNESCO「国際セクシャリティ教育ガイダンス」では、
包括的セクシャリティ教育は、自分自身や他者のウェルビーイングにどのように影響するか考えることとあります。

つまり包括的セクシャリティ教育は、長期にわたるウェルビーイングに好影響を与えるものです。

4.ウェルビーイングと保育の関係

次にこのウェルビーイングと保育の関係について考えてみようと思います。

こども家庭庁が出した「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン (はじめの100か月の育ちビジョン)」によると、
はじめの100ヶ月、つまり8歳4ヶ月までの時期は

こどもの生涯にわたるウェルビーイングの基礎を培い、人生の確かなスター トを切るために最も重要である

幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン (はじめの100か月の育ちビジョン)

保育園の時期はこの100か月の中心的な時期だと思います。

つまり、ウェルビーイングのためには、保育園で過ごす時期が大切だということになります。

5.幼児期に性教育を行う目的とは・・・

幼児期に性教育を行う目的は、
こどもたちとその周りの人のウェルビーイングにつなげていくこと
だと思います。

どうしても、方法ばかりに目が入ってしまいますが、
この本質を大事にして、いろいろな取り組みを考えていこうと思います。



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